クマ坊の日記

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【リーダーシップ】なぜ権力を持つ人は、実るほど頭を垂れる稲穂かなになれないのか

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ラグビー日本代表がワールドカップでベスト8に勝ち進みましたね。まさに歴史をつくってくれました。普段、ラグビーには興味がない私ですが、テレビの前で声を張り上げて応援していました。勝敗ももちろんですが、それ以上に試合後の日本選手のスコットランド選手への敬意の表し方には誇らしくも感じました。まさに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」を体現している選手なんだなと私は感じました。今日はそんな故事成語つながりでリーダーシップについて考えてみたいと思います。

 

 

「実るほど頭を垂れる稲穂かな」とは

若い人には、もしかしたらこの故事成語を知らない方もいるかもしれませんね。意味は「稲が実を熟すほど穂が垂れ下がるように、人間も学問や徳が深まるにつれ謙虚になり、小人物ほど尊大に振る舞うものだ」ということを表します。

 

権力を持つほど、人は横柄になる

しかし、ビジネスや政治の世界では権力を持つほど、頭は垂れなく、横柄になるようです。ベスト8を決めたW杯の会場で、大手広告会社の管理職が警備のアルバイトの学生を殴ったなんていう記事を見ると悲しくなります。この管理職のように事件沙汰まではいかないけど、横柄な経営幹部は結構身近にいるのではないでしょうか?

 

実はショッキングな論文があります。カリフォルニア大学のダッチャー・ケルトナー先生は、「なぜ人は昇進すると横柄になるのか」を研究しました。先生は「クッキーモンスター」という実験を行いました。3人1組でグループを組んでもらい、その内の1人を無作為にリーダーに指名します。そしてグループで文章を作成するという作業を行ってもらいます。30分経ったところで、焼きたてのクッキーを4枚渡します。1人1枚クッキーを食べるとすると、必ず1枚余ります。その1枚を誰が食べるのかを観察してみると、ほとんどの場合リーダー役の人物が食べてしまったそうです。

また別の実験では、軽自動車を所有している人と高級車を所有している人について調べました。すると、軽自動車に乗っている人の全員が横断歩道で歩行者を優先したのに比べて、高級車に乗っている2人に1人しか歩行者を優先しなかったそうです💦

さらに、先生は研究を進めます。企業で権力の座についている人を調べると、「職場で人の発言を遮る」「会議中に他の仕事をする」「人を侮辱する」などの行為が、一般のビジネスパーソンの3倍を上回ったとの調査結果を公表しました。

 

権力は有能感、万能感を錯覚させる

横柄な態度を取る経営幹部や管理職は、初めからそんな人間性を持っていたわけではありません。ポジションが上がるにつれて孤独になります。何が正解か分からないのに、意思決定を迫られるのが上級管理職です。そんな孤独な意思決定を続けていると、自分がなんでも決めれるという歪んだ万能感を体感してしまいます。成功体験が強ければ強いほど、この歪んだ感覚に蝕まれていきます。少しづつ少しづつ進行し、アルバイトの警備員を殴った人物のように、ある日突然顕在化します。顕在化したときには、もうすでに遅しです。

 

横柄にならないために

本当に優秀な経営幹部や管理職はこの危険性をよく理解しています。だから、彼ら彼女らは、肩書きに関係なくフィードバックしてくれる友人、家族、同僚を周囲に置きます。プロのエグゼクティブコーチを雇います。日記をつけるなどして、自分を冷静に振り返る機会を設けます。でも、そんな優秀な人は、希少種なんですけどね💦