管理職の役割は2点です。業績を上げることと人を育てることです。日本企業のほとんどは現場で成果を上げた人を管理職に任命します。そのため名プレーヤー=名コーチにならないケースがしばしばあります。今日は人材育成の視点で、管理職を考えてみたいと思います。
教え方が下手な上司は、怒ってばかり
教え方が下手な管理職は共通して「怒ってばかり」な人が多いように見えます。熱意はあるんですが、部下のミスに過剰に反応したり、すごく偉そうに指導したり。管理職自身が若い時にそのような指導を受けた経験がそのような態度のベースにあります。だから管理職本人は、本気で部下のことを思って、良かれと思って指導しているように見えます。知識・経験を持つものが、持たざるものに指導するという考え方でもあります。師匠と弟子みたいなイメージですね。こういう教育を導管モデルといいます。このような指導で育つ部下もいます。部下もそういう学び方に慣れていれば。でも多くの人は、怒鳴ったり、ミスをチクチク指摘する上司とは距離を取りたいと考えるのがノーマルな反応です。部下が距離を置くと教え下手な上司は、「あいつは積極性が足りない」「根性が足りない」というなんだかよく分からない精神論を振りかざして、ひどい人はパワハラを引き起こします。
逆も真なりで、教え上手の上司には人望があつまります。部下が自然とその人の周りに集まってきます。そしてモチベーション高く仕事をしてくれるので、業績自体もよくなるという好循環が生まれます。
教え方にも技術がある
仕事を教える場面は日常茶飯事です。そしてほとんどがコミュニケーションを通して行われます。コミュニケショーンが技術の一つであると違和感を持つ人もいるかもしれません。少なくとも日本人同士であれば、日本語を話せればコミュニケーション取れるわけですから。でも前述した通り、教え方が上手な上司、下手な上司はいるわけです。管理職になる人は現場で成果をあげた人ですから、業務や仕事に関する情報量に大きな違いがあるようには思えません。教え方を含めたコミュニケーションの技術の問題が大きいです。そして技術という言葉をあえて使うのは、トレーニングでいくらでも伸ばすことができるということです。
教えるとはどういうことか
教えるとはどういうことでしょうか?ワンワードで申し上げれば「できないことができるようになること」です。私には小学校1年生の娘がいます。彼女にはまだまだ未知の世界がたくさんあります。今は、「漢字」と「ことわざ」に夢中です。「引き算」は悪戦苦闘していますが💦 「できないことができるようになる」と笑顔で報告してくれます。この状態が教わったという状態なんだと思います。
翻ってビジネスの現場を見ると、上司が教えても「部下がでないまま」なんて経験はザラです。そしてそんな時、往々にして「できない部下が悪い」「できない部下の理解度が低い」「できない部下が練習しないのが悪い」という文脈で語られることが多いように見えます。
でも、一番の問題は教える側の上司の問題なんですよね。