前回の記事で教え方は技術だと書きました。今日は新人に業務を教える方法について書いてみたいと思います。新人を取り上げたのは、ビジネスパーソンが「教える」場面でよく遭遇する場面だと思うからです。
まずは目的を決める
当たり前のことですが、教えるためには教える目的、すなわちゴールが必要です。でも意外にこのゴールを決めないでフワッと指導を始めてしまうケースがみられます。フワッというのは、「どういうことができるようになるかを具体的に決めない」ことです。もっと詳しく言うと「具体的な行動を決めることです」技術の事後とはその辺りが明確な場合が多いのですが、営業やスタッフ系の仕事はフワッとしがちです。そもそも教える側も自分の仕事を言語化することに慣れていないですから。同じ営業部門で働いているメンバーでも、営業の仕方を言語化しようとすると100人営業がいたら100人別々の事を話すと思います。よく新人から「同じ事を質問しても先輩によって教える内容が違う」って言われることありませんか?それほど言語化すること、言語化したことを共通言語化するのは簡単なようで難しいものです。
小さな階段を作る
ゴールが決まったら次は計画です。計画は小さな階段をつくることに似ています。以前の記事にも書きましたが、ここはセンスが問われます。なぜなら教える側は、新人時代の記憶なんて覚えていませんから。覚えていても美化されています(笑)何がわからないのか分からない。どれぐらいの階段が新人にとってちょうどいい階段なのか想像もつきません。だからついつい「なんでそんなことできないの!」と言ってしまいます。実際、現象面からみると「そんなこと」レベルですから。私は教える側には、とにかくゴールまでのステップを細分化してくださいとお願いします。ゴールまでの階段を小さく刻むことです。正直、教える側からすればかったるいです。でも、最初に小さな階段を作っておくほうが、指導期間は短くてすむことが多いです。
テンポ良くフィードバックする
小さな階段が作れたら指導です。お手本を見せてやらせてみせます。大切なのは定点観測をすること。なぜなら定点観測していないと、たまたま失敗した場面を見て指導してしますからです。指導される側からすれば、些細なミスで延々と説教されるのは嫌ですよね。定点観測することで、何ができて、何ができていないのかを教える側は理解できます。教わる方もいつも見られていると思えば指導されても聞く耳をもちます。そして定点観測して、良かった点悪かった点を即時フィードバックすることです。ここでのポイントは2点。まず、「即時」ということです。1週間ぐらいして別の仕事のミスをしたときに「あの時も同じミスしたよね」と言われても、本人は覚えていません。もう1点は「できるようになったことを褒める」です。これはなかなかできません。教える側からすれば「できて当たり前」なので褒める意識がありません。でも、新人からすれば前回指摘されたことを活かして改善しているわけです。その変化点をちゃんと見逃さず褒めてあげれば、新人は仕事を覚えていきます。