私の生業は企業の人材育成の支援です。イメージしやすいのは、管理職研修や新入社員研修です。以前、研修を実施する際は時間のデザインが大切だとお伝えしました。今日は研修のコンテンツについて解説していきます。
研修はKSAで考える
KSAとは、Knowledge 知識、Skill スキル、Attitude 態度、姿勢を指します。教える内容は大きく3分類できるとまずは理解しておけば大丈夫です。その上てコンテンツの種類によって教える時の注意点も変わってきます。
知識は情報量を気をつける
知識を教える時にありがちなのは、情報を伝え過ぎる点です。どうしても知識を教える側は、あれも教えたい、これも教えたいという気持ちが先行しがちです。呼んでもらったからには少しでも役立つ情報を持ち帰って欲しいという純粋な気持ちの表れです。その一方、受講者の立場からすると、情報が多すぎても困りものです。私が20数年前、まだ新入社員の時に印象に残っているエピソードがあります。私の同期がため息まじりにボヤいた一言です。「上司が色々教えてくれるのはありがたいんだけど、私のキャパを越えて教えてくるのが辛い。例えて言えばもう飲めないのに、コップにどんどん酒を注いでくる。コップから酒は溢れるだけなんだが💦」分かりやすい例えだなと妙に感心したのを覚えています。熱心な教え手が陥る罠ですね。対策としては、沈黙の時間をつくる。間をつくることを意識します。また、伝える情報を絞りこむのも効果的です。具体的には一度に伝える情報は7プラスマイナス2に収めることです。私は3つもしくは、5つまで絞りこむようにしています。
知識を定着させるには
これは受講者が意味づけできるようにするしかありません。具体的には
- 体験を通して学ぶ
- 自分の口から語る
- 繰り返し書く
例えばマーケティングのフレームワークを学んでもらおうと思ったら、実際にフレームワークを使う演習を組み込みます。その上で、演習後にメンバー間で意見交換の時間を持ちます。その後に、意見交換で気になったキーワードをノートに記載する時間をとります。どれも、短期記憶を長期記憶に変えるための工夫です。その他には、大切な知識は繰り返し伝えるや、情報を伝える時の最後を大切にするです。エンディングって印象に残りますからね。
スキルは演習の階段をどのように作るかが鍵
当然ですがスキルは講義では獲得できません。練習あるのみです💦 反復練習を自主的に出来ればいいですが、そんな事できたら、教えてもらうなんて依頼しませんよね。短期間でスキルを習得したいから、高い費用を払って私のような外部の者を雇うわけです💦 スキルの習得は演習の階段をいかに設計するかが腕の見せ所です。おっかなビックリ学びながら、徐々に自信をつけ、研修が終わる頃には手ごたえを感じてもらえるのが理想です。そのためには、つい夢中になるように演習を設計します。
最も難易度が高い態度、姿勢
ここは最も難しい研修コンテンツです。特に大人は自分の態度や姿勢を自らの価値観や判断基準に照らし合わせて選択します。つまり、価値観や判断基準にリーチしないと何も起こらないわけです。そのため、受講者の琴線に触れるための方法を工夫します。最も効果的なのは、受講者間のフィードバッグです。同じ立場からの声の方が、心に響くということです。人に教えると言う行為はとても奥深いですね。