クマ坊の日記

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【人材育成】地位が人をつくるは幻想

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今日も人材育成の話。昔から「地位が人をつくる」という言葉があります。能力的にも人格的にもその地位にふさわしくなくても、地位につけることで成長するという格言です。企業の経営陣と話しても割と出てくる会話です。「管理職に引き上げることで、成長することを期待しているんだよ。地位が人をつくるともいうからね」でもそんな時ははっきりとNoとお伝えしています。

 

地位が人をつくるのは幻想

仕事柄、数多くのビジネスパーソンと私はお会いします。新任管理職研修を担当する際に、人事部から「A君は管理職としては物足りないんだけど、抜擢人事をすることで一皮向けて欲しいと考えているんです。」なんて言われます。でも、会社からの期待とは裏腹に地位が人をつくることはありません。正確にいえば、準備している人が地位につくことで一皮むけることはあります。

準備とは具体的には、権限が全くない時代に車内の部門横断のプロジェクトを担当して成果を出したりする経験を踏んでいるということです。そのような経験を通して、自分の中で教訓を獲得することで、いざ管理職になった時に飛躍的に成長します。

そのようなプロセスを踏んでいないと、しかるべき地位に就いても何をしたらいいかわかりません。でも本人も弱音も吐けないですしね。自分でも手応えもないまま、管理職の役割を演じつづけることになります。まだ自分の実力不足を感じながら役割を演じている分には救いがあるのですが勘違いしてしまう輩もいます。そんな輩がしかるべき地位に就くと周囲はたまったもんじゃありません。会社としても一旦、その人物を引き上げたら格下げすることもできないですしね。引き上げた判断が誤りだったとはなかなか認められません。

 

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しかるべき時期にしかるべき経験を踏むことが大切

2000年に入った頃、階層をフラット化に変更した大手企業が多数ありました。目的は従来の階層別組織では意思決定が遅いという理由でした。確かに意思決定は早くなったのですがその反作用もありました。管理職の人材が育たないという現象です。従来の階層組織では、主任、係長というプロセスを通して後輩指導や少数の部下指導の経験を獲得することができました。まさにプレマネジメント経験です。プレマネジメント経験をしているから課長になって多くの部下を持つことになっても対応、成長することが可能だったんです。一握りの優秀な人を除けば、しかるべき時期にしかるべきプロセスを踏む経験が非常に重要になります。