毎年、職場には若い新入社員が入ってきます。自分も若い若いと思っていても、テレビやマンガや音楽の話をすると、ジェネレーションギャップを感じます。
管理職の役割の一つが部下育成です。育成が大切だと理解していても、仕事が忙しい管理職からすると悩ましい役割の一つではないでしょうか。思い描いていたようには育たない。そもそも自分が若い頃は、仕事は上司や先輩の仕事ぶりを見て盗んだものだという認識もあると思います。
私は新人や若手の部下を持つと、下記のステップで育成します。
1 信頼関係の構築
日常の声がけ、挨拶、雑談。雑談は相手の好きなこととか聞くといいですよ。上司や先輩の方から声かけてあげましょう。日々の何気ない会話が信頼関係構築の基本です。
2 将来のキャリアの希望を聞く
指導の前に、この職場でどんなキャリアを描きたいかを質問してください。イメージない人がほとんどかもしれません。しかし、この質問をすることで、自分でキャリアを描かなくてはいけないんだと感じるようになります。また、支援はするけど成長するかしないかは本人次第ということも伝えましょう。
3 一年後のゴールを共有する
どんなスキルや態度を身につけて欲しいか話合います。育成対象が新人の場合は、市販の本でいいのがあればそれを渡しながら話をします。営業ならこの本に書かれているような行動ができるようになって欲しい。口頭だけだと、イメージを共有できないこともありますから。営業、コンサルタント、SEいまは色々な仕事の書籍があるので使えるようであれば、使うといいですよ。
4 必要な経験を洗い出す
身につけて欲しい行動を獲得できる経験を洗い出します。例えば、営業でも新規のお客様に取るアポイントと取引実績があるお客様とのアポイントの取り方は違います。アポイントを取るという単純な行動でも、獲得すべき経験は微妙に違います。1年間に経験すべき事柄を指導前に列挙し、部下にも伝えておきます。
5 階段をつくる
洗いだした経験を、育成計画に落とし込みます。私はこの計画を作る作業を階段を作ると呼んでいます。この階段をどのように設定するかが育成の要諦です。どうしても、1つひとつの階段が高くなりがちです。指導する人は、仕事に習熟しているので「これぐらい簡単だ」「これくらいできるだろう」と考えてしまいます。しかし、新人や経験の浅い若手からするとハードルが高いことがままあります。
6 ハードワーク
必要な経験が明らかになったら、とにかく数多く、それらの経験を獲得させます。この時に重要なのは、圧倒的な量です。しかし数をこなすだけでは不十分です。併せて大切なのは振り返りです。
7 振り返り
経験したら、どんなことを感じたか振り返りをさせましょう。日報を書かせるのもよし、個人面談はもっとよし。どんなことができたのか?何故うまくいったのか?何故、失敗したのか?次回うまくやるためにはどうしたらいいか?ここは、部下にひたすら考えさせなくてはいけません。安易に答えを教えてはいけません。自分で考えて身につけたことは、忘れませんから。ピントがずれた答えが返ってきても、我慢しましょう。教える方の忍耐力が問われます。
8 成功体験を作る
上司が下駄を履かせていいので、早い段階で小さな成功体験を味わせてください。部下は自己効力感を感じることができると、指導の方向が間違ってないんだと安心します。成功体験を積めば自然とより努力するようになります。
9 褒める
結果が出たら褒めるのはもちろん、成長の変化を感じたら具体的な行動を褒めましょう。「頑張っているな」も言わないよりはいいですが、具体的に褒めた方がいいです。「段取りのスピードが良くなった」「説明の仕方が上手くなったね。」とか。
10 さらに要求基準を引きあげる
褒めた上で、さらにこうした方がいいとか。アドバイスを伝えるといいです。部下への要求を少しづつストレッチしていきましょう。
11 職場全体で係る
1から10までのステップを職場全体で実施します。みんなで寄ってたかって育成に係わります。管理職だけや、OJTリーダーだけが育成に係わると疲弊してしまいますから。多くの人が育成に関わることで育成機会も増えます。
人の成長スピードはまちまちです。上司と部下の関係になったのも何かのご縁だと思います。大変だと思いますが、是非根気よく付き合ってあげてください。部下は成長しますし、成長した部下はあなたを助けてくれます。