クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【人材育成】複雑なスキルの教え方

f:id:kumabou2016:20181218235319p:image

昨日、新人への指導の仕方というテーマで記事を書きました。新人に指導する内容の多くは、作業手順が決まっているものが多いように思います。しかし、簡単な仕事ばかりされても職場は困ります。成長して付加価値の高い仕事が出来るようになって初めて人材投資の回収が出来るからです。そこで、複雑なスキルの指導方法を考えてみたいと思います。

 

www.kumabou.com

 

 

 複雑なスキルとは

例えば問題解決のスキルや、プレゼンテーションのスキルなどは複雑なスキルをイメージしてください。どんな仕事も、突き詰めれば問題解決です。でも、勤続年数をいくら重ねても残念な問題解決しかできないビジネスパーソンは存在します。専門知識は豊富なのに、人に伝えるのが下手なビジネスパーソンも多いですよね💦

 

複雑なスキルの指導方法

問題解決のスキルにせよ、プレゼンテーションのスキルにせよ残念な人は、頭の中が整理されていません。もっと正確にいえば「頭の中の認知」の問題です。認知できないのだから上達のしようがありません。複雑なスキルを教える際は、まず最初に型を教えることです。問題解決でいえば、多くのフレームワークを理解することです。プレゼンテーションもPREP法などの型をまずは指導することです。認知のフレームワークをまずは植え付けるのです。ここでポイントなのが「多くの」です。知っている型が一つだけだと無理がでてきます。一つのフレームワークが全てのケースで使えるとは限りませんから。教える際は、実際にやってみせるのが効果的です。

 

とにかく数をこなす

型を複数指導したら、あとは量です。覚えたフレームワークを使って数多く問題解決したり、プレゼンテーションを試してみることです。そのために指導する側が意識しなくてはいけないのは、仕事のアサインです。学んだことを試す場がなければ、上達しようにありませんから。かつての日本企業では小集団活動等のサークル活動が盛んな時期がありました。学んだことを試す場としては、とても良い仕掛けだったと思います。スキルを試す場を与えた上で、即時フィードバックをしていくことです。文章のスキルを上達させたいのであれば、ブログもいいと思いますよ。読者数やスターの数が即時フィードバックと同じ意味合いを持ちますから。

 

www.kumabou.com

 

【人材育成】新人への指導の仕方

f:id:kumabou2016:20181216104507p:image

前回の記事で教え方は技術だと書きました。今日は新人に業務を教える方法について書いてみたいと思います。新人を取り上げたのは、ビジネスパーソンが「教える」場面でよく遭遇する場面だと思うからです。

 

 

まずは目的を決める

当たり前のことですが、教えるためには教える目的、すなわちゴールが必要です。でも意外にこのゴールを決めないでフワッと指導を始めてしまうケースがみられます。フワッというのは、「どういうことができるようになるかを具体的に決めない」ことです。もっと詳しく言うと「具体的な行動を決めることです」技術の事後とはその辺りが明確な場合が多いのですが、営業やスタッフ系の仕事はフワッとしがちです。そもそも教える側も自分の仕事を言語化することに慣れていないですから。同じ営業部門で働いているメンバーでも、営業の仕方を言語化しようとすると100人営業がいたら100人別々の事を話すと思います。よく新人から「同じ事を質問しても先輩によって教える内容が違う」って言われることありませんか?それほど言語化すること、言語化したことを共通言語化するのは簡単なようで難しいものです。

 

小さな階段を作る

ゴールが決まったら次は計画です。計画は小さな階段をつくることに似ています。以前の記事にも書きましたが、ここはセンスが問われます。なぜなら教える側は、新人時代の記憶なんて覚えていませんから。覚えていても美化されています(笑)何がわからないのか分からない。どれぐらいの階段が新人にとってちょうどいい階段なのか想像もつきません。だからついつい「なんでそんなことできないの!」と言ってしまいます。実際、現象面からみると「そんなこと」レベルですから。私は教える側には、とにかくゴールまでのステップを細分化してくださいとお願いします。ゴールまでの階段を小さく刻むことです。正直、教える側からすればかったるいです。でも、最初に小さな階段を作っておくほうが、指導期間は短くてすむことが多いです。

 

テンポ良くフィードバックする

小さな階段が作れたら指導です。お手本を見せてやらせてみせます。大切なのは定点観測をすること。なぜなら定点観測していないと、たまたま失敗した場面を見て指導してしますからです。指導される側からすれば、些細なミスで延々と説教されるのは嫌ですよね。定点観測することで、何ができて、何ができていないのかを教える側は理解できます。教わる方もいつも見られていると思えば指導されても聞く耳をもちます。そして定点観測して、良かった点悪かった点を即時フィードバックすることです。ここでのポイントは2点。まず、「即時」ということです。1週間ぐらいして別の仕事のミスをしたときに「あの時も同じミスしたよね」と言われても、本人は覚えていません。もう1点は「できるようになったことを褒める」です。これはなかなかできません。教える側からすれば「できて当たり前」なので褒める意識がありません。でも、新人からすれば前回指摘されたことを活かして改善しているわけです。その変化点をちゃんと見逃さず褒めてあげれば、新人は仕事を覚えていきます。

 

 

 

【マネジメント】教え方が上手い上司、下手な上司

f:id:kumabou2016:20181216090531p:image

管理職の役割は2点です。業績を上げることと人を育てることです。日本企業のほとんどは現場で成果を上げた人を管理職に任命します。そのため名プレーヤー=名コーチにならないケースがしばしばあります。今日は人材育成の視点で、管理職を考えてみたいと思います。

 

 

教え方が下手な上司は、怒ってばかり

教え方が下手な管理職は共通して「怒ってばかり」な人が多いように見えます。熱意はあるんですが、部下のミスに過剰に反応したり、すごく偉そうに指導したり。管理職自身が若い時にそのような指導を受けた経験がそのような態度のベースにあります。だから管理職本人は、本気で部下のことを思って、良かれと思って指導しているように見えます。知識・経験を持つものが、持たざるものに指導するという考え方でもあります。師匠と弟子みたいなイメージですね。こういう教育を導管モデルといいます。このような指導で育つ部下もいます。部下もそういう学び方に慣れていれば。でも多くの人は、怒鳴ったり、ミスをチクチク指摘する上司とは距離を取りたいと考えるのがノーマルな反応です。部下が距離を置くと教え下手な上司は、「あいつは積極性が足りない」「根性が足りない」というなんだかよく分からない精神論を振りかざして、ひどい人はパワハラを引き起こします。

 

逆も真なりで、教え上手の上司には人望があつまります。部下が自然とその人の周りに集まってきます。そしてモチベーション高く仕事をしてくれるので、業績自体もよくなるという好循環が生まれます。

 

教え方にも技術がある

仕事を教える場面は日常茶飯事です。そしてほとんどがコミュニケーションを通して行われます。コミュニケショーンが技術の一つであると違和感を持つ人もいるかもしれません。少なくとも日本人同士であれば、日本語を話せればコミュニケーション取れるわけですから。でも前述した通り、教え方が上手な上司、下手な上司はいるわけです。管理職になる人は現場で成果をあげた人ですから、業務や仕事に関する情報量に大きな違いがあるようには思えません。教え方を含めたコミュニケーションの技術の問題が大きいです。そして技術という言葉をあえて使うのは、トレーニングでいくらでも伸ばすことができるということです。

 

教えるとはどういうことか

教えるとはどういうことでしょうか?ワンワードで申し上げれば「できないことができるようになること」です。私には小学校1年生の娘がいます。彼女にはまだまだ未知の世界がたくさんあります。今は、「漢字」と「ことわざ」に夢中です。「引き算」は悪戦苦闘していますが💦 「できないことができるようになる」と笑顔で報告してくれます。この状態が教わったという状態なんだと思います。

翻ってビジネスの現場を見ると、上司が教えても「部下がでないまま」なんて経験はザラです。そしてそんな時、往々にして「できない部下が悪い」「できない部下の理解度が低い」「できない部下が練習しないのが悪い」という文脈で語られることが多いように見えます。

でも、一番の問題は教える側の上司の問題なんですよね。

 

 

 

 

【組織】金魚を飼うなら、水を飼え!

f:id:kumabou2016:20181211170458p:image

今日は私の専門のお話です。私の生業は人材育成です。読んだまんまですが、人材を育成するのが仕事です。しかし、この前提が大きく変わるような地殻変動が起きています。ワンワードで申しあげれば「人より文化」です。

 

 

金魚を飼うなら、水を飼え

この言葉はコピーライターである糸井重里さんの言葉です。今はほぼ日手帳を世に送り出す事業家ですね。「人より文化」という話をする時に分かりやすい比喩が糸井さんの言葉です。金魚を飼育するなら、金魚を飼う水の管理をしっかりしなさいという話です。金魚を飼うときの基本ですよね。

今、企業や学者さんが関心を持って研究しだしたテーマも金魚の飼育の比喩と同じです。我々は人材という個に焦点を当てて来たけど、組織文化に働きかけることが重要なのでは?という考え方です。

 

社会構成主義が土台

ちょっと難しい話になるのですが、上記のような文化に働きかけることが重要だと考える人々が共通認識として捉えているのが「社会構成主義」です。凄く乱暴に解説すると、「客観的な真実なんてこの世にないんだぜ!人々がどう意味づけするかで世の中は構成されているんた!」という考え方です。だったら、人々の意味づけを変えたら社会も変わるだろうという論理です。企業にあてはめれば職場の文化を変えたら、人々も変わって、業績も変わるだろうという話です。これを専門用語で「組織開発」と呼びます。

 

「組織開発」には戦国時代

組織開発という言葉が、企業の人事担当者界隈で爆発的に流行りそうな予感がします。一般の人からすれば、「はぁ〜」ていう感想でしょうが💦 しかし、肝心の「組織開発」の流派は群雄割拠状態。学者、実務家がさまざまな主張を展開している真っ最中です。そんな中、頭1つ抜け出しそうな方法論が対話です。

 

対話の重要性

人々の意味づけを問い直すには、何を考えているかお互い話さないと始まらないですよね。だから対話することが大切です。時には対立する必要もあるかもしれません。いや組織なんて対立だらけですよね。製造部門と営業部門、経営と現場、品質とコスト。。。あっちを立てれば、こちらが立たず。お互い妥協しながら、擦り合わせをしていく事を日本企業は得意としてきました。そうすることが企業の成長には効率的でしたから。しかし、変化が激しい現在、そのやり方に閉塞感を経営も現場も感じているんだと思います。閉塞感を打ち破る手立ての1つとしても対話が注目されてると思います。

 

 

【人材育成】心技体じゃなくて、体技心

f:id:kumabou2016:20181118184722p:image

 

スポーツ好きな人は、「心技体」という言葉は一度は聞いたことがあると思います。ビジネスの世界でも、体育会系の上司や先輩は人材育成のキーワードでこの3つのキーワードをよく使われるように思います。今日はビジネスにおける「心技体」について考えてみたいと思います。

 

 

 

心技体とは

精神力(心)・技術(技)・体力(体)の総称。スポーツ界でよく使う。「心技体のバランス」 出典:デジタル大辞泉

 1953年に柔道家道長伯氏が、フランス柔道連盟会長の「柔道とはいったい何か?」との問いに「柔道の最終的な目的は心技体の錬成であり、それによって立派な人間になることです。技術を習得するには強靭な精神力が必要です。」と答えたのが「心技体」という言葉が広まったきっかけと言われています。

 

嫌いだった精神論

中学生の時、部活でサッカーをしていました。その時の顧問の先生が精神論全開のお人でした。日大アメフト部も真っ青なスパルタ指導でした。まあ、それで嫌気がさし高校からはサッカー辞めて、登山部に鞍替えしました。登山部への転向を考えさせてくれたという意味では理不尽な指導も、私の人生には役だったわけですが。。。でもそれ以来精神論やスパルタ指導を強いる指導者に対しては憎悪に近い感情を抱いていました。

そんな私ですから、仕事を初めた頃に上司や先輩から「心技体」と絡めた薫陶を受けても1ミリも私の琴線に触れることはありませんでした。そんな私が大勢の部下を持ち、指導する立場になると「心」は大切だと思うのはなんとも皮肉な事態です。ただし、その順番は「心技体」ではなく、「体技心」です。

 

 ビジネスの世界は、体→技→心

ビジネスの世界では、どんなに崇高な思いがあっても「技術」がなければ何も表現できません。お客さまは満足の対価にお金を支払うのであって、想いにお金を払うわけではありません。「技術」を身につけるには、長い時間と経験が必要です。量を熟さないと質は生まれてきません。量をこなすために大切なのは健康(体)です。つまり、体がベースであってこそ初めて技術(技)です。でも、技術が高まれば高まるほど、技術だけでは越えられない領域があることに人は気づきます。体力・技術の高いビジネスパーソンの戦いの中で、髪一重の差を分けるのが想い(心)だったりします。だから私は「体技心」の順番が人の成長においては大切だと考えています。

 

今回の記事を書くために、「心技体」について改めて調べてみました。元々は、柔術独習書という本に書かれたのが起源のようです。柔道の目的として

  1. 身体の発育 (体)
  2. 勝負術の鍛錬(技)
  3. 精神の修養(心)

元々の順番は、体技心だったみたいですね。