天才画家であるフィンセット・ファン・ゴッホの波瀾万丈の一生を描いた作品です。同時代にパリで活躍した日本人画商である林忠正がゴッホに影響を与えたというフィクションです。フィクションなのですが、本当にそんな展開あり得たかもしれない?と思わせるほどの物語です。
「たゆたえど沈まず」は小説の舞台となるパリを表した言葉でした。革命にもテロにも屈せず、パリは沈みそうになるが、そのたびにまた浮上してくる強さがある街。
人生も個人では、どうしようもない嵐に巻き込まれることがあります。そんな時は川に浮かぶ小舟のように、嵐に身を任せて、嵐が止むのを待つ。たゆたえど沈まずでありたいです。
林忠正さんは、この本を読んで初めて存在を知りました。明治の初頭に、パリでこんなに活躍した日本人がいたとは驚きです。