クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【マネジメント】虎の威を借る狐 狐の権力編

f:id:kumabou2016:20230212223014j:image

前回は組織の権力として、虎の権力と題して理詰めでの話し合いが出来ない人物のお話をしました。組織には虎だけでなく、狐も出没します。今日は狐の権力について考えてみます。

狐の権力

大企業になると、社長を始め経営幹部と一般社員が直接話せる機会は限られます。そんな事していたら経営幹部の時間は24時間あっても足りません。効率性、生産性を高めるために組織をつくるわけですから。そのため、組織には必ず連結ピンの役割を担うポジションが発生します。例えば課長が部下に無茶な指示を出す時に、「私も反対だが、どうしても部長が意見を曲げないんだよね」とかが典型です。メンバーからすれば、本当に部長がそう言っていたのかは分かりません。部長に聞くと「社長からのどうしてもの依頼なんだよ」でも、当の社長はそんなに固執していたわけではなく周りが忖度してしまっただけかもしれません。狐からすれば、虎を大きく見せた方が部下への支持はしやすいわけです。狐は上司と部下との間だけでなく、部門間の歪みにも存在します。

いい狐、ダメな狐

虎の威を借る狐はとんでもない人に見えますが、見方によっては調整役になっているとも言えます。立場によって同じ事象でも見え方が異なります。一方的な考えを伝えるだけでは物事が進まないこともあります。そこを調整する人がいることで組織がスムーズに進むことがあることも事実です。ただ優れた調整役の狐とただの狐が大きく違う点は、前者は全体最適の視点を持つのに、後者は部分最適の視点、もっと最悪なのは個人の利益しか考えていない点です。

狐の出現をどう防ぐか

これは大企業になればなるほど難しいのですが、まずは調整専門の部署を作らないということです。仕事を分業するのは、そもそも生産性を高めるためです。当事者間で利害が対立するような事柄に関しては、調整部門を据えて専門の担当者を決めたほうが物事はうまく進むに違いないと考え、調整部門が作られます。しかし、その考えがすでに誤りです。結局、調整の為の調整作業が生じるだけです。また、悪意を持っている担当者でなくとも、誰もが自分の仕事の価値や存在感を示したいと考えます。そのことが余計な狐の権力を生み出すことにも繋がります。

調整専門のポジションを作らない以外には、○○さんが言っているを禁止することです。「お客様が言っているから」「営業が言っているから」「社長が言っているから」などのフレーズで他者を説得しようとする輩がいたら、鋭くツッコミましょう。お客様や営業とは具体的に誰?社長はいつ、どんな場でそのような発言したのか?そこはスルーしないで、しっかり突っ込んだ議論をしなくてはいけません。結局、ふわっとした抽象的な議論していると狐が生まれる温床となるので、議論する際、特に何かを意思決定する際は理詰めで議論を行うのが大原則です。

まあ、とはいえ故事成語になるぐらいですから、出現を防ぐのは難しいのでしょうが。