先日、ハーバード大学のアニータ教授の講演を聞く機会がありました。プロスポーツ選手のマーケティングを研究している先生です。最強のF1チームやバスケットボールのスーパースター、レブロン・ジェームズ選手、エンターテインメントのスーパースター、ビヨンセなどが研究対象です。今日はその時に感じたことを書いてみます。
ブロックバスター戦略
先生の著書で有名なのは、ブロックバスター戦略です。凄く乱暴に説明すると、プロスポーツの世界やエンターテインメントの世界では、1人のスーパースターが圧倒的なメガヒット「ブロックバスター」を生み出している。これには共通した戦略がある。それをブロックバスター戦略として紹介しています。エンターテインメントの世界、映画でも演劇でも当たり外れがあります。そのため、昔から興行主さリスクを分散するために多くの作品を世に送り出します。9本外れても、1本メガヒットが生まれれば投資も回収できるし、稼いだ分で大儲けもできるという考えです。しかし、現代は大ヒットしそうなものに、徹底的、圧倒的にリソースを打ち込むことで、一人勝ちを狙らうというものです。これを可能にしたのは、SNSを代表とするデジタル技術の進化だと主張します。そして、プロスポーツ界やエンターテインメントの世界で起きている事は、ビジネス界でも同様な現象が起きている。平凡な100人のエンジニアより、一人のエンジニアがもたらす価値の方が大きい。
スーパースターを受け入れられますか?
アニータ教授は、そのようなスーパースターは複数の才能を持つことが多いと説明します。私はNBAは門外漢ですが、そんな私でも名前を知るレブロン・ジェームズ選手はNo.1の選手でありながら、企業経営者としても成功しているそうです。そんなスーパースターほどではないにせよ、ビジネス界で才能を持つ社員を雇用しようとすれば、費用は右肩上がりに増える一方です。企業経営者からすれざ、固定費は抑えたいのが本音ですが、みなさんの会社はどうですか?というような投げかけがありました。
スーパースターより集団天才
スーパースターにベッドするブロックバスター戦略は理解できますが、個人的には嫌いです。世の東西の歴史を見ても突出したタレントが社会や時代に大きな影響を与えます。でも、長い歴史で眺めると一瞬の出来事です。そんな一瞬の爆発的な成長より、名もない凡人が叡智を積み上げて、長い時間をかけて築いていく企業成長の方が応援したくなります。そうやって発展してきたのも、また人類の歴史の側面でもあります。みんながそれぞれの個性や強みを出し合いながら、集団としての力を発揮していく方が私は好きです。