職場や研修会場でファシリテーターを務める時に、毎回ドキドキするのが「介入」する技術です。今日はファシリテーションにおける介入スキルについて考えてみます。
人は思いついたことを話さずにはいられない
職場の会議でせっかくアジェンダを作成しても、参加者は話し合っているうちに程度の差はあれ脱線します。人は聴きたいものを聴き、話したいことを話さずにはいられない生き物ですから。脱線することで思わねアイデアが生まれることもあるし、言いたいことを全部吐き出したからこそ、本音で意見が言えるなどの効用もあるので、脱線自体はあながち悪いとは思いません。しかし、ビジネスは納期があるので時間は意識せざる得ません。時間切れで話し合いが終わらなかったという形は避けたいところです。
一度に議論できるのは1テーマ
当たり前ですが、メンバーが一同に介して議論できる論点は1つのみです。そのため、話があまりに脱線するようであればファシリテーターは介入しなければいけません。それも、ならべく意見した人の気分を害さないように。「論点ずれています」とつっけんどに介入できたら楽なのですが、ストレートに指摘すると角も立ちます。私は気心が知ったメンバーの場合は、話を聞いた上で芸人のギャグを使って介入します。「ちょっと何言ってるか分からないんですが(笑)」「時を戻そう」芸人さんは素晴らしいフレーズを考えてくれるものです。まあ、関係性がないメンバーとの話し合いでは使えませんが。もっとも単純で簡単な介入の仕方は、ホワイトボードに書かれた論点を再度指し示しながら、「今は〇〇のテーマについてご意見いただけると嬉しいです」と伝えることです。話しながら論点を指し示すことで、参加者は視覚からも情報をインプットすることになるからです。
早め早めの介入を心がける
漫才を見ていると、ツッコミが早く細かいほうがテンポがよくなることが分かります。ボケを泳がせすぎると、それはそれで面白いですが回収するのにまた技が求められます。話し合いにおける介入も同じで、早めに介入して話を切るほうがおすすめです。延々と脱線させた後に、「話がズレています」と突っ込まれると、指摘されたメンバーのプライドが傷つきます。早めに介入したほうが相手も矛を収めやすくなります。
分けて考える
センシティブな論点を話しあう際に、複数の人間が異なる論点で話し合いを進めるケースがあります。ファシリテータの立場とすれば、あまり遭遇したくないシチュエーションですが。百家争鳴というやつです。そんな展開になったら、論点を分けて改めて議論を再開する他ありません。話し合いのプロセスに再度立ち戻るのです。ただこういうシチュエーションに陥る場合は、話し合いのプロセスの決め方が曖昧だったか、よほどそのテーマについて物申したかったのどちらかです。後者であれば、脱線を許容してガス抜きさせた方が良いケースもあります。この辺りはファシリテーターの胆力が問われる場面でもあります。