前回の記事で、マネジメントの期待領域が増えていて、ワークショップ型のチーム運営も求められる時代だと書きました。その中でクローズアップされるのがファシリテーションスキルです。今日はファシリテーションの構造について考えてみたいと思います。
ファシリテーションは準備で決まる
職場でファシリテーションを進めていく上で、まずはその構造を理解しておく必要があります。世の中には、ファシリテーションの情報や技が溢れていますが、せっかくそれらを習得しても上手くいかない事がよくあるからです。ファシリテーションは大きく3つの階層から構成されていると理解してください。
- チームづくり、場づくり
- 手法、ツール
- 進行、促進
最も大事なのは、優秀で魅力ある人をチームに引き込めるかどうか。集まったメンバーが心地よく意見交換ができる場が設定されているかどうかです。極端な話、この二つの条件がクリアできていれば、有益なアウトプットは自然と出てきます。優秀なファシリテーターはここの調整力が抜群です。調整というか、あの人が招集するのであれば喜んで馳せ参じたいと思わせる人柄ですね。普段からの仕事ぶりだったり、過去の実績だったり。またメンバーを守ってくれる安心感だったり。そういう積み重ねが物をいいます。そんな蓄積がない場合は、ベタですが熱意や一生懸命さみたいな部分が有効です。全てをひっくるめたファシリテーターの人間力が問われます。また、社内であれば調整力や根回しといったスキルがあればなお良しです。
ビジネスは時間にお尻がある
素晴らしいメンバーを集めて、適切なお題を与えれば、メンバーが化学反応を起こして勝手に最高のアウトプットを出してくれます。しかし、メンバーは人ですから体調が悪かったり、仕事の負荷状況等の理由で、化学反応が起きにくい時もあります。また、ビジネスは納期がつきものなので、時間も意識せざる得ません。そんな時に役立つのがフレームワークだったり、KJ法やワールドカフェのような話し合い手法です。これらの引き出しを沢山持っておくと心強いです。
ファシリテーターの腕前が問われるのは最終手段
良いメンバーを集め、心地良い場の提供し、話し合いの手法を準備しておけば、ほとんどは上手くいきます。しかし、それらを準備していても話し合いが進まないケースもあります。お題がコンフリクトを起こす内容であればなおさらです。ここで、狭義のファシリテーターのスキルが問われることになります。この領域は匠の領域になるのですが、いくつかマスターしておくと良い基本スキルもあります。その内容については、また別の機会でお伝えします。
まずは、人選と場づくりに集中するのが大切です。それが上手くいけば、ファシリテーションの7割は成功したようなものですから。