クマ坊の日記

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【マネジメント】きちんと測ろうとすればするほど、社員の不満は高まる

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人事制度構築の依頼が急増しています。メンバーシップ型からジョブ型への相談が多いです。今日は企業の人事制度、とりわけ評価について考えてみたいと思います。

人事制度改革の背景

DXに代表されるように、事業改革の必要性が増した事、コロナによるリモートワークの増加、個人の働き方の多様化などが背景にあります。人事制度は評価、賃金、処遇、育成等から構成されます。全て重要ですが、特に評価に関しては重要になります。社員にどのような成果を上げて欲しいか、その為にはどんな行動をとってもらいたいかなどのメッセージを伝えることになるからです。企業風土や企業文化に大きな影響を与えます。

 

評価への不満

人事制度を構築する際は、必ず社員へのインタビューを行います。現在の働き方や、成果の出し方、マネジメントの実態等々。多岐に渡る質問をします。質問項目の一つに現在の人事制度についても質問をします。すると、回答の多くは評価に対する不満。部門間、個人間の不公平に関する事柄があがってきます。評価が処遇に紐付いているため当然です。

 

きちんと測ろうとすることの弊害

公平性は人事制度を検討する際の論点に必ずなります。当然、人事部は「評価の公平性を高めねば!」という発想になります。そして公平性を高めるためには、評価における数値化を高めて成果を明確にしようと考えます。数値化つまり成果にフォーカスをするということです。論理的に考えれば筋が通っているように見えます。しかし、実際に成果偏重にすると社員の不満は高まります。成果をきちんと測ろうとすればする程、社員はきちんと測れていないことに苛立ちを感じます。成果を重視すればするほど、公平性への要求が高まるという皮肉な結果になるわけです。

 

ノーレーティングが一つのヒント

では、どうすれば良いのから?ヒントはノーレーティング(評価しない)にあります。ノーレーティングとはMicrosoftやGE社など米国の大手企業で導入されて注目をされるようになりました。評価しないと書いてありますが、評価はします💦 パフォーマンスの結果を等級づけしないだけで、一人ひとりの業績や行動の評価は当然行い、処遇や能力開発目標などはきめ細かく設定します。ポイントは他の人と比較しない。あくまで個々に向き合って個別評価することになります。通常は等級の箱の中で管理されます。10人部下がいれば、1人はS評価。1人がA評価、5人がB評価で3人がC評価と言った具合です。もっとも大前提として、管理職のマネジメント力がかなり優れていないと成立しませんし、事業自体が成長しないと十分な処遇も用意することができません。つまり、ノーレーティングの仕組みを導入できる企業は限られます。

ただ、日本企業の多く前述した通り、処遇の為に成果の公平性を重視する傾向が強いです。そして、測ろうとし過ぎてかえって社員の不満を高めています。むしろ、社員の成長にフォーカスした方が個人も組織も上手くいくように思います。