クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【経営】パーパスと丸男くん

f:id:kumabou2016:20211111185510j:image

昨今、SDGsのキーワードは巷に溢れかえっていますが、それに呼応して経営の世界でバズワードになりつつあるのがパーパスです。このブログでもパーパスについて何度か触れましたが、改めてパーパスについて考えていきます。

パーパスとは何か?

いきなり核心ですがパーパスとは何でしょうか。purposeと辞書を引くと目的という訳がでてきます。経営やビジネスの世界では目的よりもさらに踏み込んで、「社会的存在意義」と理解しておくのが良いです。何のために存在しているのか?社会にどんか貢献をするのかが企業は問われ時代になりました、日本企業は昔から、「三方良し」や「論後と算盤」などの考えの影響を受けていました。だから、割といまさらなんで?と思う経営者も多いかもしれません。

 

マーケットの変化

欧米の先進企業は20年前からパーパスを重視した経営に舵をきりました。2000年初頭は株主から猛反対され株価も一時落ちましたが、その後は業績を順調に伸ばしている企業が多いです。そのようなインパクトもあり、機関投資家の意識も変化しました。株主だけでなくステークホルダー全体への配慮、短期だけでなく長期の視点も、結果だけでなくプロセスも、人中心から地球中心に。時間軸と空間軸を広げた経営を求めるようになりました。消費者も体験が素晴らしいのは当たり前で、そこに意義やストーリーがあるから購入するなどの変化が欧米を中心に起きています。

 

丸男君とNIKE

パーパスは多くの人々に共感されるメッセージばかりです。耳触りのいい優等生的な発言になります。アニメ、チビまる子ちゃんに出てくる学級委員の丸男君が話しているように見えます。丸男君は正しいことを話しているのですが、周囲はあまり共感してくれません^^;何を言うかよりも誰がいうかが注目されます。そしてどのように伝えるかも。

近年、この伝え方で私が驚いたのは、スポーツメーカーのNIKEが2018年に展開した広告キャンペーンです。黒人をはじめとした有色人種への差別に反対するアメリカンフットボールの選手を広告に起用したからです。その選手はNFLの試合前の国家斉唱中にベンチに座ったままだったり、片膝をついて抗議の意志を示しました。そんな国家を侮辱するような選手を起用するとはどうかしてる!と全米から猛抗議を受けました。株価も一時大幅に下がり、不買運動も起こります。広告のコピーは、「何かを信じろ!例え全てを犠牲にしても!」です。しかし、その後、この広告に共感する人が増えオンラインを中心に売上を拡大し株価も反転上昇することになります。まあ、普通に考えればNIKEの活動は、ブランディングの範疇を越えてます。これまでの常識を越えた行動ができたのも、NIKEがパーパスを掲げていたからです。NIKEのパーパスは「スポーツの力で世界を前進させること、全ての人のためのゲームとなるよう障壁を超えてコミュニティを構築すること」でした。今やただカッコいい美辞麗句を並べるだけでなく、自ら政治的アクションも厭わない。アクションを起こすことで、より消費者からの信頼を高めるそんな時代に突入したのかもしれません。

日本でも2020年にトヨタ東京オリンピックのCMから撤退したのは皆さんも記憶に新しいかと思います。大企業になればなるほど、様々なお客様と繋がっているので大胆な決断はできないものですが、たいしたものです。

 

パーパスがもたらす分断と対話力

話をNIKE社に戻しますが、NIKEのアクションは素晴らしいと思いますが、一歩引いて眺めるとアメリカ社会の分断をより促したようにも見えます。価値観の価値観のぶつかり合いは、永遠に折り合わないような怖さもあります。パーパスが当たり前になればなるほど、対話力も問われるように感じています。