クマ坊の日記

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【人材育成】ワークエンゲージメントとリスキリング教育

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リスキリング教育を計画する大企業が増えています。リスキリング=ITスキルをイメージしていただいて構いません。政府もリスキリング教育に5年間で1兆円を注ぎ込みます。素晴らしいことではありますが、上手くいくかは微妙な気がします。国や企業側の思いと、勉強を受ける側の社員にギャップが存在するからです。そこを理解して施策を計画しないと、無駄な公共投資になる可能性もあります。今日は企業のリスキリング教育について考えてみます。

リスキリング教育を歓迎するのは、ワークエンゲージメントが高い社員だけ

国からも補助金出るし、会社としてもDXを推進している。多くの社員がコードをかけるようになれば、会社のDXも推進するし、社員にとってもキャリアアップになるに違いないと考えリスキリング教育を企画すると失敗すると思います。何故なら、自ら進んで会社が用意するリスキリング教育を受講したいと考えるのは社員のほんの一握りだからです。一口に社員と言っても様々な動機を持った人たちがいます。縦軸に会社で働く満足度、横軸に仕事に対する満足度をとって、4象限で示すとこんな図になります。下手な絵で恐縮です。

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右上が会社も好き、仕事も好きという会社からすると最も望ましい社員。右下は会社は嫌い、仕事は好き。いつでも転職しますよ予備軍。左上は会社は好きだけど仕事は嫌い。仕事に遣り甲斐は感じてないけど、処遇はいいしとりあえず最低限の仕事だけこなして、この会社に安住する人々。左下は仕事も会社も嫌い。もうすぐ辞めてしまうか、会社に対して逆恨みする人々。現実はもっと従業員の心理は複雑なのですが、分かりやすく単純化してみました。会社が用意するリスキリング教育を喜んで受講してくれるのは、右上の社員だけになります。

層別に分析して、層別に対策を立てる

リスキリング教育を社員に一律に実施しても、それぞれのレディネスが異なります。教育効果も限定的になるのは明らかです。層別に分析してリスキリング教育以前の施策を検討するのが大切になります。右下の仕事は好き、会社嫌いであれば経営に対して不満があるのかもしれません。ビジョンやパーパス、評価に問題があるかもしれません。左上であれば、日常のマネジメントに問題があるかもしれません。左下は両方なので難しそうです。ワークエンゲージメントの状態を見ながら、どの領域にどれぐらいの人数がマッピングされるかを把握しながら、一番インパクトのある層に向けて施策を打っていくことになります。