今日はファシリテーションの基本技術について考えてみたいと思います。まあ、もっとも話すテーマが参加者全員にとって関心が高いテーマであればテクニックなど不要なんですけどね。
ファシリテーターの役割
ファシリテーターの役割は3つです。
- 場をつくる
- 進め方の準備
- 進行のスキル
この中で特に大切なのは、場づくりです。場づくりとは、椅子の配置とか会場レイアウトだけを示すのではありません。どんなテーマを設定するか、どんなメンバーを集めるか。そのために、どんな告知や根回しをするかなども含まれます。つまり、ファシリテーター自身の信頼感やブランドがものをいいます。「あの人が主催するなら面白そう!」「あいつに誘われたら断れないな!」と思わせるのが最良です。でも、その域になるには時間がかかりますよね。キャリアの浅い若い人の武器は「熱意」です。いつの時代も熱意は人を動かします。
場作りがなぜ最も大切かというと、関心が高いテーマと優秀なメンバーを集めることができれば、もう半分は成功だからです。ファシリテーターが頑張る必要はありません。むしろ、邪魔にならないように裏方に撤することです。
進め方の準備をする
場を設定して、そのテーマに相応しいメンバーを集めることができればファシリテーターがすることはないのですが、そんな都合よく場を毎回、設定することはできません💦 上から降ってきた謎テーマ、何のために呼ばれたか分からない参加者、意見を引き出す以前の状態でファシリテーションや会議を任されるケースの方が多いようにも思います。そんな状態で無策で飛び込むとファシリテーターは大惨事です。そうならないように、進め方の準備が必要です。KJ法やビジネスフレームワークなど、参加者の関心、理解度にバラつきがあってもフォーマットに沿って話を進めれば、ある一定のアウトプットは担保できるようにしておくことが肝要です。
進行のスキル
最後に必要なのがいわゆるファシリテーションスキルというやつです。世の中の書籍や研修で扱っているのがこの部分です。ファシリテーターが介入する事で、プロセスやアウトプットが大きく変わることは事実です。では、具体的にはどんなスキルをなのでしょうか?
- テーマを定める
- 心理的安全性を確保する
- 真意をつかむ
- 考えを広げる
- 収束させる
- 情と論理
テーマを定める
文字通りです。issueから始めよという名著がありますが、何のテーマで話すかは非常に重要です。「テーマがあまりに壮大で時間内では語り尽くせない」「そのテーマは現場ではなくもっと上位の階層の意思決定が必要」「テーマが詳細過ぎて一部の人しか理解できない」テーマのサイズ感、参加者がコミットメントできる内容か、そもそもテーマに相応しい内容か等、テーマを設定することが合意形成に大きな影響を与えます。
心理的安全性を確保する
自由な発言を促されても、地雷があったりすることはありますよね。まずは、この場では何を話しても大丈夫という空気感を作るのが大切です。相手の意見をよく聞き、相手も自分の意見を尊重してくれてると実感してもらうやりとりが大切になります。
真意を掴む
心理的安全性が確保されて、意見がメンバーから出てきても、真意が他のメンバーに伝わるとは限りません。単純に発言者の語彙力、表現力の問題の場合もありますが、多くは参加メンバーの背景が異なることにあります。発言者は内容についてよく理解しているけど、他のメンバーの予備知識が足りないために誤解や不毛な議論が繰り広げられます💦 絡まった糸を解いて、互いの意図が正しく理解し合えるようにリードします。放置しておくと感情的な対立に発展してしまいます。そうなったら解決はより難しくなります。
考えを広げる
同じ組織内の話し合いだと、考えや議論が視野狭窄に陥りがちです。これまでの経験や歴史が柔軟な発想を邪魔しがちです。固定観念をズラすのはファシリテーターの腕の見せ所です。社外の人間がファシリテーションするメリットはまさにここにあります。社内の方が難しい。普段から、ちょっと違った角度で考える習慣をつけておかないとファシリテーションで考えを広げるのは難しいかもしれません。
収束させる
発散するだけであれば楽なのですが、ビジネスは納期があるので議論を収束させる必要があります。様々な意見の共通項を見つけ束ねていくのが基本です。
情と論理
収束させるまでが基本スキルなのですが、人は感情の生き物です。論理的には筋が通っていても感情的には相入れないなんてことは、どこの組織でもあるものです。面子、プライド、意地。。。現実は一筋縄ではいきません。最後はファシリテーターの人間力に帰結してしまいます。信頼感ですね。基本スキルを踏まえつつ、自分の持ち味を活かしたファシリテーションを行うのが一番です。