クマ坊の日記

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【経営】メンバーシップ型からジョブ型には簡単には移行できない理由

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日立、富士通資生堂と日本を代表する企業がメンバーシップ型からジョブ型への人事制度移行を表明しています。コロナが引き金にはなりましたが、多くの日本企業は従来の雇用のやり方に限界を感じていました。コロナをきっかけに検討が早まったと言う感じです。しかし、簡単には変えられないのが人事制度です。今日はこの事について考えてみたいと思います。

 

 

ジョブ型?メンバーシップ型?

まずそもそも、ジョブ型暦とメンバーシップ型雇用の違いについて説明します。一言で申し上げれば、「ジョブ型は席で給料が決まり、メンバーシップ型は人で給料が決まります。」ジョブさん型は仕事の範囲が決まっています。また海外ではエリアと職務内容でだいたいなの報酬に関する相場も決まっていたりします。プロフェッショナルを集めての仕事には向いています、一方、メンバーシップ型は仕事や勤務地が決まっていません。社命とあらばどこにでも転勤しますし、どんな仕事でも担当します。故に人材育成も重視されてきました。流石に未知の仕事を担当するわけですから、仕事を教えないとです。多くは、教室の中ではなくOJTといって仕事を通して育成を図ってきました。日本は古くから、メンバーシップ型の雇用形態が中心でした。それには経営側、従業員側の双方にメリットがあったからです。1970年代、80年代は日本企業はイケイケでした。業績も好調で未知の仕事も沢山ありました。経営からすると、機会損失を減らす為にも、社命に従って動いてくれる社員が多数いる事で、環境変化に合った組織編成が可能でした。そして若い頃は安い給料で働いてくれることで初期コストも抑えることができました。個人からしても、真面目に仕事をしていれば雇用は保障され、1番生活でお金がかかる年代に給与が高くなるのは都合が良かったのです。

 

メンバーシップ型が立ち行かなくなった要因

右肩上がりの成長が出来なくなったと言うのが最大の要因です。儲からないのに、人件費が重いコストとして負担になってきました。国の施策で再雇用の負担も増えましたし。また、高度なプロフェッショナル人材採用の際にもメンバーシップ型は支障が出てきました。メンバーシップ型はほぼ年功型の賃金テーブルになります。優秀な人材がいても、他のメンバーとのバランスで高い給料を提示出来なかったりします。特にITの分野では顕著です。大手企業がデジタルDXに戦略転換する中、人的リソースの確保は最重要課題になっています。

 

労働法基準法とああ野麦峠

じゃ、ジョブ型に変えればいいじゃん!と言う結論ですがそれが簡単にはいきません。ジョブ型の大前提は、いつでも解雇できるという雇用の柔軟性にあります。職務にあったメンバーを集めることで成果を出しやすい一方で、給料は高いから儲からなくなったら人件費はコストになるだけです。だから、欧米では現場の解雇権も認められています。アメリカのビジネスモノの映画やドラマを見ていると、主人公がクビになるシーンよく見かけますよね。解雇されても転職市場が成熟しているので、次の仕事も力がある人は見つけられます。翻って、日本の法律では解雇のハードルは高いです。そもそも法律ができた時代背景は、ああ野麦峠女工さんまで遡ります。時は明治初期です。野麦峠と言っても若い人には通じませんね。世界遺産になった群馬県富岡製糸場です。当時は劣悪な作業環境で女工さんが働かさせられてました。こんか事をしていたら、日本の産業は欧米に追いつくこてができないと考えて作られたのが労働基準法です。そのため、労働者の権利を手厚く守られた内容になっています。働く側からすれば有難いですが、経営から見ると硬直的な法律のようにも見えます。つまり、ジョブ型に変えても法制面での課題はあると言う事です。

 

職務や成果がそもそも曖昧

ジョブ型に移行したとしても、ビジネスモデル自体が、変わらないのであれば仕事も同じです。職務や成果を描ける仕事は良いですが、多くは仕事も成果も曖昧です💦 つまり職務基準を作る時点で、早くも躓くのが想定できます。エイや!で決めてしまうしかないのでしょうが、メンバーシップ型の社員からの反対は必至です。総論は賛成ですが、自分の給料が減ったり、将来の見通しが立たないのであればそりゃ反対しますよね。

 

マネジメントレベルが圧倒的に低い

様々な障害を跳ね除けて、メンバーシップ型からジョブ型に移行したとします。しかし、思ったようには成果が上がらないはずです。だって、そんな成熟したプロフェッショナルをマネジメントできる管理職がこの国には圧倒的に不足しているわけですから。結局そうなると日本以外の国々から人材を調達するのが当たり前になるはずです。

 

日本の強みを維持したままのジョブ型に移行できるか?

勿論、ジョブ型に移行しただけでは欧米企業や中国企業には敵わないでしょう。日本企業の従来の強さである、現場でのすり合わせをする力や文化を維持し錬磨しなければいけません。どんな組織やビジネスモデルにしようが、ショートゴロのような誰の職務範囲でもない仕事は必ず発生します。そこをどうやってこれからも拾っていけるかが、日本企業の力の源泉になるように私は感じます。