クマ坊の日記

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日大緊急会見とダブルバインド

YouTubeで日大の緊急会見を見ました。怒りを通り越して、驚きに満ち満ちていました。私もビジネスパーソンの育成に関わる仕事をしていますが、改めて「成長」や「育成」という言葉の怖さを実感しました。

 

目次

 

日本語が通じない

記者と2人、いや司会者を含めて3人のやりとりを聞いて率直に感じたのは「日本語を話しているのに日本語が通じてない💦」 質問と答えがチグハグな場面が印象に残りました。同じ日本語を話しているのに言葉の解釈が違いすぎる。コミュニケーション以前に小学校の国語から勉強した方がいいと真面目に感じました。

 

また、言葉の矢印が全部自分に向いているようにも感じました。「私が未熟で」「私の認識が」。。。反省してますと発言しながら、聞いている方は誰一人反省しているようには聞こえない滑稽さ。

 

教え子の事も、怪我させた相手の事も、アメリカンフットボールの事もどうでもいいんだろうな。前日の謝罪会見を一人で行った学生とあまりの姿勢の違いからそんな印象を持ちました。

会見の様子を見てて、ダブルバインドという言葉を思い浮かべました。

 

人を壊すダブルバインド

ダブルバインドとは文化人類学者のグレゴリー・ペイトソン先生が生み出した言葉です。ダブルバインドとはひとつのメッセージに矛盾した二つの意味を伝えることでメッセージの受けてが混乱して思考停止してしまうことです。

 

今回の象徴的ワードは「潰せ!」です。監督とコーチは「潰せ」に二重の矛盾したメッセージを与えています。「文字通り相手選手を怪我させてこい!」と言う意味と、「怪我させるのではなく、激しくいけ!」と言う意味。

 

ダブルバインドが怖いのは、矛盾したメッセージを受け取ることで、何が正しいか分からなくなり思考が停止してしまうことです。洗脳で使われる古典的な手法です。

 

タチが悪いのは監督とコーチはダブルバインドを当たり前だと捉えている点です。悪意を持ってダブルバインドを使っているのではなく、それが正しい指導方法だと本気で信じているように見えました。そして、学生がもう少し成長すれば言葉を忖度できたはずだと本気で信じていました。今までこのような指導をしてきたから、彼らにとっては当たり前の指導方法だったのでしょう。

 

成長させたいは、危険な言葉

コーチが話していた「成長させてやりたい」と言うのは本心でしょう。でも、「成長させる」とか「育成」と言うキーワードはとても危険な側面を持ちます。

 

私はビジネスパーソンの教育を生業としていますが、「育成」と言う言葉は嫌いです。何故なら、人が人を育てると言うのは何かおこがましい。傲慢な響きを感じるためです。

 

人は誰でも何歳からでも成長できると信じています。でも、それはその人自身が頑張った結果なんですよね。たまたま、その人が成長する過程で「コーチ」「先生」「上司」「師匠」という立場で居合わせたに過ぎないと思います。その人が成長する際に役立つことはあるかもしれませんが、「自分がお前を成長させてやる」は、凄く傲慢な考え方だと思います。道端に咲く雑草だってアスファルトの割れ目から力強く育って花を咲かします。誰が世話をしたわけでもないのに。

 

指導に対する認識がそもそも誤っているので、「期待しすぎた」「見誤った」「アプローチの仕方が違った」等の言葉が2人から出てきたのだと私は思いました。人の成長に役立ちたいと思うなら、自分自身が成長しないと話になりません。「去年の3年生が〜」なんて話している時点で自分は無能ですと宣言してるようなものです。

 

広報はもっと凄かった

前日の広報からリリースされた文書には驚きましたが、今日の司会者を見て納得してしまいました。自分の事しか考えないような人を広報に置いている事が日大の組織風土を端的に表していました。あんな会見見せられたら、学生は日大に進学したいとは思わないでしょう。親も高い学費を払ってまで子供を日大に通わせたいとは考えないでしょう。

 

人口が減少するこれからの時代。大学は生き残りをかけて経営力が問われています。そんな時代に内向きな論理を最優先させる組織に未来があるようには到底思えません。

 

しかし、火に油を注ぐというのはこういう状況を指すんだなと言う事はよく分かりました。