世間を騒がしているアメフト日大選手の謝罪会見を見た。とても心が痛くなりました。彼が犯した反則はとうてい許されるものではありません。
でも、20歳の若者がアメリカンフットボールに全てを捧げてきた若者が、選手生命の生殺与奪の権を握る監督、コーチに逆らえたでしょうか?
彼の両親の気持ちを考えても胸が張り裂けそうです。悪辣な指導者に出会ったがために息子が大好きなアメフトで苦しんでるいる。もの凄く辛いと思います。
今回は大学スポーツの中で起きた事件ですが、働く職場でも起こりうることです。コンプライアンスの視点から考えてみたいと思います。
目次
故意と過失
今回の会見で、一連の反則が監督とコーチの指示だということが明らかになりました。真っ黒な故意ですね。かなり悪質です。コンプライアンスの視点で見ると故意だろうが過失であろうが犯した罪にかわりはありません。しかし、こんな指示を平然と下す指導者がいる事に驚きます。
視野狭窄に誰でも陥る
反則を犯した選手も、自分が行なったプレーは許されることでない事は百も承知です。だからこそ、試合後に自分の犯した罪に気づき涙を流し、勇気ある会見を行ったのです。クロだと、アウトだと分かっているのに人は罪を犯します。練習から外され、試合にも出れず追い詰められていました。人は追い詰められると視野狭窄に陥ります。
これはビジネスの現場でも起こりえます。「売上の為に」「出世の為に」「誰にも迷惑かけないし、これぐらいなら」「ライバル社に負けてしまうから」責任感が強く、真面目な人ほど視野狭窄に陥ります。もし、おかしな状況に陥ったら深呼吸をして、鏡で自分の顔を見てみることです。
チームメイトの不作為の罪
日大の監督とコーチが絶対的に悪いのですが、私はチームメイトや他のコーチにも罪があると思います。監督やコーチが出した指示がおかしいと気づいていたはずです。でも、誰も見て見ぬフリをしました。誰か一人でも疑問を呈する人がいれば状況は変わったと思います。一言言わなかった事も罪深いと思います。これを不作為の罪と呼びます。
というか、こいつらチームメイトじゃないのかい?! 仲間が苦しんでるいるのに何で助けてやらないんだ!!理解できない。私が採用担当ならこいつらは絶対採用しませんね。
日大の品格も問われる
監督、コーチの責任は明らかですが、教育機関である日大の責任も重たいです。まさか、アメリカンフットボール部で起きた事件に過ぎないとか考えてないでしょうね?多くの学生を預かる大学には高い倫理観が求められます。法律違反してないからとか、アメリカンフットボールの試合で起きたことだから大学運営とは関係ないなんて考えていたら日大は潰れますよ。この監督が大学の理事を務めてる時点でアウトですから。世間は教育機関に対する期待は高いんです。事件が起きた後の対応の遅さは致命的です。
日大に限らず、企業も同じようにステークホルダーから高い期待をかけられています。法律を守るのは当たり前でどれだけ、その会社で働く社員一人ひとりが自己を律せられるかが求められる時代なんですよね。
罪は消えないけど人生は続く
今回、会見を行った彼の罪は消えません。しかし、彼の人生は続きます。罪を犯したけど、いつか今回の出来事が彼の人生をより良くするキッカケにだったと言える日が来ることを祈っています。今回の会見は立派でした。