新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。多くの新入社員が今日から新入社員研修に参加しているのではないでしょうか。私は皆さんが参加している研修を設計したり、実際に運営したりしています。今日は新入社員研修について考えてみたいと思います。
目次
- 新入社員研修の目的
- 新入社員研修の内容
- 新入社員が理解すべきたった5つの事
- 仕事のプロを目指す
- プロフェッショナルとは
- 35歳までの仕事経験が重要
- 与えられた役割で全力を尽くす
- ポータブルスキルを獲得する
- 学習する習慣を身につける
新入社員研修の目的
新入社員研修の最大の目的は、新社会人としての心構えの切り替えです。学生時代にアルバイト経験してきた人も沢山いると思います。売り手市場だったし、仕事なんて楽勝でしょうと思う方もいると思います。実際、ただ働くだけだったらそんなに難しいことはありません。仕事も普通に真面目に取り組んでいれば、時間と共に慣れていくはずです。
企業がわざわざ時間とお金を投資して、新入社員研修を実施するのは新人に期待しているからです。単に職場に存在する人材ではなくて、仕事を通して付加価値を生み出す人財に育って欲しいと真剣に願っています。何故なら新人を採用するのに莫大な採用コストを使っているからです。1人採用するのに、500万から1000万ぐらいの金額がかかります。投資した以上にリターンを期待するのが資本主義です。
新入社員研修の内容
新入社員研修では、学生と社会人の違い、ビジネスマナー、電話応対、名刺交換、報告・連絡・相談、仕事の進め方、ビジネス文書、コスト意識などなど多岐に学びます。部署に配属されて、新人が躓きそうな事柄について学びます。研修では失敗はどんどんしてください。職場配属時に失敗する方がダメージがでかいです。職場の上司、先輩は新人の一挙手一投足をみながらラベル付けを無意識にしていきます。「こいつは優秀そうだ」「あいつは駄目っぽい」このラベリングを払拭するのには相当の時間と労力がかかります。
新入社員が理解すべきたった5つの事
新入社員研修で学ぶことは前述した通り多岐に渡りますが、4月のこの時期に理解しておくべきことはたった5つです。
- 仕事のプロを目指す
- 35歳までの仕事経験が重要
- 与えられた役割で全力を尽くす
- ポータブルスキルを獲得する
- 学習する習慣を身につけること
仕事のプロを目指す
従来の会社とビジネスパーソンの関係は主従の関係でした。例えといえば殿様と家来のような関係です。ビジネスパーソンは一生懸命会社の為に頑張れば会社はその姿を見ていてくれる。収入もステータスもあがり自分の生活も豊になる。そんな関係性でした。2000年代初頭にはそんな幻想を維持できるのはごく僅かな企業だけだったのですが、未だにこの仕事観は根強く残っています。ただ新入社員の皆さんが職場の中核になるであろう10年後には、そんな幻想は1ミリも残ってないでしょう。企業とビジネスパーソンの関係はより対等な立場に変わっていると思います。「仕事でこれだけのバリューを出すから、これだけの年収をくれ!」と言うような関係です。逆にバリューを提供できないビジネスパーソンは徹底的に安く使われるような時代になると思います。つまり、プロフェッショナルような意識とスキルが求められます。
プロフェッショナルとは
プロフェッショナル難しい言葉です。私が部下や後輩に話す時はこう説明します。「AKB48ではなくて、矢沢永吉や安室奈美恵」を目指すこと。誰でもない、あなたにしか出来ないやり方で価値を創出すること。AKB48がプロではないと考えていません。彼女達は自分達の青春の全てをぶつけて活動しているのだから。私が強調したいのは、唯一無二の存在という事です。そして、プロフェッショナルは卓越したスキルと高い志が求められます。
新人時代から、自分はどんなプロになるのか考えることが大切です。仮決めでいいから。仮決めして山に登ったら、違う山に登りたいと思うこともあると思います。頂上に着いたと思ったら、奥にもっと高い山が控えているかもしれません。大切なのは自分の意志で歩きだすこと。ずっと低地で待っている限りは、時間と労力を会社にいいように利用されるだけです。まずは、自分の旗を掲げる事が大切です。
35歳までの仕事経験が重要
ビジネスパーソンの成長は、現場での経験が7割。上司や先輩の薫陶・指導が2割・研修等が1割と言われています。圧倒的に大切なのが仕事経験です。様々な経験を積むことが、スキルや知識、仕事観、人脈の獲得に繋がります。しかし、誰もが平等に様々な仕事経験を積めるわけではありません。経験の獲得、特にレアな経験の獲得はイス取りゲームみたいなものです。自ら狙っていないと、チャンスはあっという間に目の前を通り過ぎてしまいます。だからこそ、自分がどんな風に働きたいか、どんなプロを目指すかは朧げでもいいから描いておく必要があります。
そして、適切な時期に適切な経験を積むというのは思いの他重要です。時間は巻き戻せませんから。それに若いうちは失敗しても傷は浅くてすみますしね。
与えられた役割で全力を尽くす
ありたい姿を描いて、こんか仕事経験をしたいと考えても、目の前の仕事は理想とは遠くかけ離れているのが普通です。大切なのは与えられた役割で全力を尽くすこと。出来れば期待される役割プラスαの仕事を意識すること。プラスアルファとは依頼者の期待値を越えることです。「こんだけ頑張ったのに・・・」は自己満足のマスターベージョンと一緒です。期待以上のアウトプットを出してくれる部下には、新しいチャンスが巡ってきます。
ポータブルスキルを獲得する
ポータブルスキルとは、持ち運び可能なスキルの事です。具体的にはコミュニケーション力とロジカルシンキング。そして両方の合わせ技である問題解決力の3つです。どんな業種、職種、階層でも必ず必要なスキルでもあります。専門知識やスキルもポータブルスキルがあってこそ、より輝きが増すものです。だって専門知識やスキルを組織に還元する力がないと業績には結びつかないからです。コミュニケーションは誰もが出来ることです。だから、誰もトレーニングしません。トレーニングしなくても仕事は回りますから。でも職場にはコミュニケーションが上手い人と下手な人が確実にいます。そして仕事のサイズが大きくなるに連れて、多くの人を巻き込む必要があるります。だからこそ、コミュニケーションは意識してトレーニングする必要があります。
ロジカルシンキングもしかりです。こんなスキルなくても、目の前の仕事に困ることはありません。でも、若い頃から意識してトレーニングしないとロジカルな思考は身につきません。学歴も関係ありません。日頃からどれだけ脳ミソ使っているかです。管理職候補になってから慌てて勉強しても遅すぎます。
問題解決はロジカルシンキングとコミュニケーションの合わせ技です。いいプランを考えても実行して成果を上げられなければ、1ミリも評価されません。
学習する習慣を身につける
勉強は学生で終わりではなく、寧ろ社会人になってからの方が必要です。ビジネスの世界は正解がありません。今日の正解が明日の不正解になる世界です。だからこそ、アンテナを高くして、貪欲に新しい知識やスキルや情報を獲得する必要があります。例えて言うなら「自分の中の引き出しを増やす」ようなものです。若いうちからそんな学習習慣をつけておくと、10年後、20年後に大きな差となってあらわれます。