クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【マネジメント】一枚岩の組織こそ失敗しやすい

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私は歴史が大好きです。通勤中に聞いているのは、ポッドキャストのコテンラジオです。歴史を楽しく、深く解説してくれます。ビジネスを考える上でも、歴史を知っていると直接役立つことはありませんが、人や組織に関する考察は現代にも通じること多々あります。今日は歴史から組織について考えてみたいと思います。

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戦争と組織

日本の戦国時代に、類い稀な人物が輩出されました。織田信長豊臣秀吉徳川家康武田信玄上杉謙信伊達政宗・・・数えればキリがありません。世界を見渡しても、中国の春秋戦国時代、キングダムの時代には、武将、思想家が沢山生まれいます。現代以上に超実力社会なので、傑物も生まれくるのも納得です。戦争は反対ですが、戦争という極限状態は人や組織に対しても多くの知見を与えてくれます。ビジネスパーソンによく読ませているのは、旧日本軍の組織的研究について書かれた野中先生の「失敗の本質」ではないかと思います。「失敗の本質」は過去記事をご笑覧ください。

 

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アダプト思考

日本ではあまり知られていませんが、アメリカ軍のイラク戦争での成功と失敗を分析したのが、ティム・ハーフォードの「アダプト思考」です。凄くザックリ述べると、イラクでのアメリカ軍の失敗は、理想な組織の幻想としています。理想な組織とは、統制の取れたチーム、統一的大局観、厳格な指揮命令系統で当初は組織が設計されていました。空爆で圧倒し、情報戦を制し、特殊部隊を投入して、敵部隊を崩壊させる効率的な戦い方を目指していました。正規軍での戦闘は早々と集結しましたが、8年半の占領統治で多くの犠牲を払うことになります。テロや市街戦、治安維持には理想な組織は何も役立ちませんでした。その大きな原因は、現場からのネガティブな情報も、異なった意見も全て排除されたためと著者は考察しています。このままだと、「失敗な本質」の旧日本軍と一緒ですが、アメリカ軍は踏み留まります。何名かの現場指揮官が独自の戦略を生み出し成功事例を生み出したからです。カオスな現場では、試行錯誤とそのフィードバックを高速て回すことが有効であると論じています。

 

 

日本企業の勝ち筋

かつて日本企業の強みは、小集団やボトムアップの改善活動でした。しかし、現場の多様化が進みマネジメントの難易度が上がっています。心理的安全性がバズワードになっているのも、その一つでしょう。現場からのボトムアップを促す経営や戦略が日本企業の勝ち筋の一つではないかと思います。

 

 

 

【マネジメント】ドライブ・マイ・カーに学ぶ部下との距離感のつめ方

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今さらですが、やっとドライブ・マイ・カーを見れました。カンヌで脚本賞アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞した作品です。映画のレビューは専門ブロガーにお任せして、私はマネジメントに重ねて、この映画から学んだことを綴りたいと思います。

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あらすじ

映画を観てない人もいると思うのでザックリなあらすじを。西島秀俊演じる主人公の家福は、俳優兼演出家。妻が不倫していたのを目撃しますがその事を聞けずに、妻は死別してしまいます。孤独に妻のことを思いめぐらすうちに、地方での演劇の公演依頼を受けることに。その舞台は、年齢、国籍、性別、境遇がバラバラなキャストたちが集まります。様々なアクシデントを切り抜けながら、作品が作りあげられていかます。その間、運転を禁じられた家福の代わりに、宿と稽古場の送迎を担当するのが、三浦透子が演じるドライバーのみさき。毎日の送迎での交流から、家福が心の再生を果たしていく映画です。

 

交流には丁寧な時が必要

主人公の家福は、プライベートと仕事を潔癖なほど分けて考える人間です。ドライバーにも俳優達にも最初は自分を見せようとはしません。仕事に私人を持ち込まないことを美徳と考えているようでした。しかし、様々なきっかけから俳優達やドライバーのプライベートに関心を抱くようになっていきます。すると、仕事も上手く回り始めます。この間、主人公が行っているのはドライバーや俳優と淡々と対話だけです。

 

マネジメントも似ている

コロナになってからリモートワークが増えました。リモートワークでは用件だけを効率的に処理する仕事になりがちです。しかし、無駄に見える対話の時間を通してメンバーの人間性を知ることが、逆にメンバーが上司の人柄を知ることで、仕事にも良い影響を与えることは多々あります。時代が代わり、仕事の進め方が変容しても「人を活かす」のはマネジメントの本質です。対話で必要なのはコーチングスキルでも、問いの立て方でもありません。丁寧な時間を作るというのが最も大事なのかもしれません。この映画を観ながら、私はそんな事を考えていました。まあ、あの映画観ながらマネジメントになぞらえて考える私はだいぶクレイジーでありますが。

【マネジメント】新規事業開発と多産多死の文化

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私の生業は企業の人材育成を支援する仕事です。それと同時に社内ではマネジメントも担当しています。マネジメントの中でウェイトが高くなっているのが、新商品・新事業の開発です。今日は新商品・新事業開発のお話です。

新商品・新事業開発の谷

以前もこのブログに書きましたが、新商品・新事業開発がスタートする際は社内から大きな期待を寄せられます。スタート時は両手を上げて応援されますがそれも束の間、開発者は孤独な旅がスタートします。社内リソースは限りがあります。そのため、リソースの奪い合いになります。人や金ですね。既存事業の方が、関係する人数も収益の実績も上なので、当然、新規事業開発担当者の方が部が悪くなります。かくして開発担当者は孤独な旅が始まります。

 

想いから全てが始まる

初めての試みですから開発担当者も不安です。スタートアップの創業者と違って、自分がやりたいと手を挙げたわけではなく、会社から指名されるケースが多いでしょうし。私も現在担当している新事業開発はそんな感じでした。半年間ぐらいは、やる気が起きず未着手でした。社長からのオーダーを半年間未着手というのも、我ながら酷い話ですが💦 他の業務と兼業で忙しかったのは事実ですが、気が乗らなかったのが実際です。そんな私の気持ちを変えたのは、娘の一言でした。何の為に新事業を始めるのか、想いの出発点は改めて大事だなと実感しました。

 

人とのご縁

一度スイッチが入ると、面白いように情報が集まってきます。情報が集まるとアイデアも数多く浮かんできます。根拠なくアイデアと想いを発信していると、興味を持ってくれる人がでできてそからまた新たな出会いが生まれたりします。既存事業でもそうなのですが、過去素晴らしい仕事が出来た時は、不思議な縁や偶然を感じることが多いです。世の中的にはセレンディプティなんて言葉もあります。日本語に訳すと、幸運な偶然を手に入れる力と呼びます。

 

多産多死の文化があるかどうか

大企業の新規事業開発が成功するか否かは、社会個人の才覚もありますが、それ以上に大事なのは企業風土や企業文化にあります。特に多産多死を許容できるか否か分水嶺だと思います。新規事業が成功する確率なんて僅かなものです。多くの事業が陽の目を見ませんし、そこからスケールできるものはより少数です。しかし、企業とは本来無駄を嫌うものです。いかにリソースを有効活用してリターンを得るか追い求めます。だから、既存事業と新規事業では考え方が180度違うわけです。にもかかわらず、既存事業の発想で新規事業をマネジメントしてしまうので、さらに新規事業な立ち上げは難しくなります。

【マネジメント】マネジメントの常識が、非常識になる時代

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今週は現代の管理職の実態について考えてきました。今日は現代の管理職がマネジメントを行う上で、リスキルすべき課題について考えてみたいと思います。

東日本大震災とワンマン管理職の衰退

マネジメントの機能は、もの凄く乱暴に申し上げると「機会損失を最小限にすること」です。無駄なこと、無理なことをしているが故に、本来なら10台製品を作れるところを8台しか作れないとか、100杯のラーメンを販売できた所を段取り悪くて70杯しか売れなかったということを回避するためにマネジメントを行います。だから管理職は重箱の隅をつつくような指示命令が多くなりがちです。また、2000年代までは「ワンマン管理職」が評価されていました。機会損失を最小化するためには、部下に指示を出しその通りに動いてもらうほうが理に適っています。部下と丁寧なコミュニケーションをする管理職は、人身掌握が出来ない管理職、リーダーシップが発揮できない管理職として社内からは評価されてきました。でも、ワンマン管理職が成立するには大前提があります。それは、その企業のビジネスモデルが有効であるということです。

このビジネスモデルに一石を投じたのが、東日本大震災だったように思います。この震災をきっかけに、社会は改めてコミュニティの重要性に気づかされました。当然、企業もその重要性に気づき始めます。特に中小企業はこれを機に人を大事にする経営に切り替えて、その後発展した例は少なくありません。しかし、大企業はその規模の大きさ故に、分かっちゃいるけど変化できず苦しみます。今、管理職を務めている人の多くは、このタイミングに現在のポジションに上がったのではないかと思います。

しかし、管理職になった途端、これまで扱うことのなかった問題に直面します。SNS浸透によるコンプライアンス対策、ハラスメント対応、ダイバーシティ、組織開発、ONE ON ONE、コロナ対応、リモートワーク、DX。。。全部、企業が未経験の施策ばかりです。管理職は大変なのは当たり前です。対応するためにさ、従来のマネジメントの考え方やスキルを変化せざる得ないわけです。

 

現代の管理職さ何をリスキルすべきか

どんな職種、どんな業種の管理職でもリスキルすべきはチームビルディングだと私は考えます。私たちは前例のない課題に取り組まなくてはいけません。誰も正解なんて分からないわけですから、チームで考えて行動する他ありません。ただ、リスキルと言ってもそんなに難しいことではありません。私がお勧めしているのは、職場のメンバーと一緒に、職場の運営方針を考えてみることから始めてみることです。これまでは、多くの場合は管理職が一人で考えるわけです。メンバーもそれを考えるのが管理職の仕事だろと思っています。それらを一回、ぶち壊してみてください。最初は物凄く勇気がいりますが💦 メンバーへの問いかけはたった二つです。「現在の職場はどんな状態か?」「一年後までにどのような状態にしたいか?」自分を含めてメンバー全員に書いてもらい、一斉に出し合ってみてください。そこから話し合いをスタートさせると、メンバーの色々な想いに気づくことができます。注意すべきは必ず書かせること。口頭だと声の大きい人に引っ張られます。もう一つは、管理職の覚悟です。最初は上手くいきません。寧ろ職場は混乱し、生産性は落ちるかもしれません。上手くいかなくてもブレずに1年間やり抜くことです。やっぱり自分がリードせねばと、やり方を元に戻した時点で終わりです。ただ、ブレずにやり続ければ、その果実は素晴らしイノは間違いありません。

 

 

【マネジメント】何でも管理職と受援力

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現代は管理職にとって受難の時代です。メンバーから見ても、管理職は大変そう、辛そうに見えることが多いように思います。今日は管理職の受難の実態について考えてみたいと思います。

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何でも管理職、とりあえず管理職

私自身も現役の管理職でもあります。ざっと振り返って見ても、本業のマネジメント以外に、コンプライアンスやハラスメント対策、ダイバーシティ対応、残業を中心とした働き方改革、One on Oneミーティング、経費申請のチェック、採用面接、SDGs対応。。。なんか物凄いタスクの数になっています💦 毎日、人事、総務、経営管理、法務、経理等から依頼メールが飛んできます。まあ、うちの会社もまあまあタスク多いですが、他の企業の管理職も似たような状況だと思います。近年はSNSの発達に伴い、ちょっとした管理職の判断ミスが企業不祥事の発端となることが増えてきているので管理体制を徹底します。実際にはそんなに厳しく管理しても意味がないのですが、何か問題が起こった時の免罪符代わりのようなものです。とりあえず管理職に振っておけばいい、何かあれば部門の管理職を指摘しておけばいいという考えが透けて見えます。こうして管理職のタスクは増える一方です。

 

逃げたっていい

管理職の立場からすると、身体がいくつあっても足りません。結果、自分ができる範囲のタスクや直近に求められているタスクを処理することしか出来ません。そうしないと管理職自身の健康が保てません。自分の身を守るためには管理職を下りる選択肢を選ばなくてはいけない時もあるでしょう。

 

受援力を高める

私自身はなんとか管理職の役割を果たし続けることが出来ています。理由は私が優秀であるからでもなく、要領がいいわけでもありません。何でやってこれたかと言うと、臆面もなく周囲に「助けててください!」と叫ぶことができるからです。大昔に山田孝之さんと綾瀬はるかさんで「世界の中心で愛を叫ぶ」というドラマがありました。あのドラマでも叫んでいましたね。泣いたなー。懐かしい。話が脱線しました。周囲に助けを求める力、受援力は今、管理職に必要な能力のように思います。私の大好きなマンガ、「ワンピース」の主人公も、この受援力高いですよね。勿論、ずっーと助けてもらってばかりでは、メンバーも助けてくれないので得意な領域や、責任を取らなくてはいけない場面では最前線に出て身体を張らなくてはいけませんが。あなたは周囲に助けを求めることができていますか?