クマ坊の日記

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【人材育成】ジョブ型人事制度とキャリア開発

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前回の記事ではジョブ型人事制度が企業経営者界隈で注目されていることをお伝えしました。今日はビジネスパーソンのキャリア開発にどんな影響を与えるかを考えていきたいと思います。

 

自由と自己責任

ジョブ型人事制度への熱狂は、2000年代初頭の成果主義を導入した際とデジャブすると前回の記事で書きました。人事教育の世界では時を同じくして流行ったキーワードがあります。それが「自由と自己責任」です。従来型の企業が社員教育を手厚く実施する時代は終わり、社員1人ひとりが自らのキャリアを自らで築く時代だ!と言われました。私自身もそのキーワードに共感し自己研鑽に励みました。若い頃に自己投資したことはとても役立ちました。

 

一方、企業側の人材育成の視点で見ると「自由と自己責任」は混乱をもたらしました。なぜなら、現場の仕事の仕方は従来と変化してなかったわけですから。個人でスキルを高めても職場でそれらを発揮する機会は限られます。結局、意識が高い人、優秀な人ほど社外に飛び出す他あなかったように見えます。成果主義と自由と自己責任のキーワードは転職市場の拡大には繋がりましたが、企業でそこで働く人々には混乱と熱狂だけをもたらしただけのように見えます。

職場構成も派遣社員が増え、従来のマネジメントや仕事の進め方は通用しなくなっていました。バラバラになった職場が、さらにバラバラになったのが失われた10年に起こったことのようにも思います。

 

当時と違うのは企業側の危機感

似たような雰囲気ですが、唯一違うのは企業側の危機感です。働く側の価値観もだいぶ変容していますし、IT企業を中心に働き側も様変わりしています。ジョブ型への移行の動きは加速していくでしょう。それに伴い各社の人事育成の在り方も変化しつつあります。従来の階層一律の研修機会から、より個々人のキャリアを意識した教育体系を志向しているように見えます。より細分化されたメニューを用意する必要があるので、企業間の体力差が出てくるように思います。人材育成に投資ができない企業は、より個人の側の自助努力を求めることになるでしょう。ただ、そのような企業は人材のリテンションや採用で厳しくなることは容易に想像できます。

 

専門能力に加えてマネジメントとリーダーシップ

プロフェッショナルの個々人が集まれば、組織として成果があげられるか?というとそんな簡単な話ではありません。ジョブ型の人事制度は、何もしなければ遠心力が働く一方です。今まで日本企業が優れているされてきた組織力の維持、向上は難易度が格段と高まるでしょう。個人のキャリア開発の視点で考えると、専門知識やスキルを高めていくのはもちろん、マネジメントやリーダーシップを高めていくことも求められるでしょう。(より高い報酬を手にしたいと考えるなら)企業側も目には見ずらいこれらの能力に加え、組織文化をどのように醸成していくかが課題になると感じています。