トッドスキナーという登山家が書いた本です。トッドスキナーは登山家といってもフリークライマーの第一人者でした。フリークライマーはありえないような断崖絶壁を踏破していく人達です。残念ながら、2006年に山での事故で亡くなられました。
本が書かれた当時、トッドスキナーはアメリカの経営者から絶賛されていました。ありえない目標をチームで乗り越えていく姿が感銘を与えました。ビジネス書としてアメリカではかなり売れました。
私も当時は、まだ若くとんがっていた時代でした。仕事も先輩や同僚、他のコンサルタントが手がけていないような仕事を受注し問題解決することに生きがいを感じていました。だからこの本に書いてあることを、自分自身と重ねあわせて読んでいました。私自身も学生時代に登山をしたのも、この本に共感できた理由だと思います。
12年前に読んだ本なので、うろ覚えですが、こんなことが印象に残っています。「困難な目標だからこそチームがまとまる」「どんな肩書きや経歴も山(仕事)の前では意味がない」とか。「登山路がない山(仕事)ではその山のことを知るよりも、考えることが大切」とか。「山の上の過酷な環境(崖の上で眠る)に慣れるには、普段からその環境に慣れるのがいいいとか」「山の高さを低くすることはできない、自分自身を高めるしかない」「一歩踏み出せるのなら、もう一歩も踏み出せる」「センセーショナルなのは当然と捉え、不可能を追求せよ」「山が頑固であるほど、リーダーシップは柔軟でなければならない」「山に登るには最初の90%ではなく、最後の10%が大切」「即興で乗り切れる能力と柔軟性が、最終的に重要な資源となる」
今、読んでもそれほど共感しないのかもしれません。ただ、ハードワークするのが自分のアイデンティティとして大切だった30代前半にはとても意味があった本です。この本に私は勇気をもらいました。本は内容も大切ですが、出会うタイミングも重要なんだなと教えてくれた本でもあります。
これから仕事のキャリアを築こうとする、若い人にお薦めの本です。もっとも今のハードワークを嫌がられる時代からすると、あまり共感はされないかもしれませんね。