クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【人材育成】雑用って意味なくないですか?

f:id:kumabou2016:20240306145648j:image

人事担当者のお客様と打ち合わせをしていたら、新人から「なんで私が雑用しなくてはいけないのですか?」と質問されて唖然としましたという嘆きをお聞きしました。どちらも悪いのではなく、物差しが違うんだろうなと感じました。今日は今どきの新人育成について考えます。

今どき新人はバラバラ

冒頭、今どきの新人と書きましたが、今どきという時代では特徴をくくるのが難しいのが現在です。意識も能力も高い人もいれば、意識や考えが幼いなと感じる新人もいます。よりきめ細やかな個別対応が現場の管理職や人事担当者には期待されることを自覚しなくてはなりません。

自分の育成経験が通用しない

現場の管理職、先輩が新人育成で困っていることは、一言で申し上げれば「自分たちが育ってきたやり方が通用しない」という事です。ホワイトな職場化が進み残業もできず、ハラスメントにびくびくして厳しいことも言えません、そもそも自分の仕事量が多くて育成時間も確保できません。

石の上にも三年

新人と上司、先輩とも育成スピードに関してズレがあります。上司、先輩は中長期の視点で育成を考えます。新人のうちは成果を出すのは難しいので、石の上にも三年というスタンスで育成に取り組みます。しかし、前述したようにホワイトな職場化しているので、緩い仕事しか与えられていなかったり、実際には放置されていることもあります。新人はSNSで繋がっています。キラキラしている同年代を見ると焦ります。1社で最後まで務め上げれるとも考えていないので、昔よりも早く成長しなければという危機感が強いです。そのため、育成アプローチも短距離走型が有効です。

短距離走

石の上にも三年、一見意味のないような経験が後から振り返ると、自分の成長には有効であるというのは真実です。しかし、成長を急ぐ新人からすると、成長実感を感じられる経験をどんどん積めないと、そもそも入り口の時点から敬遠されます。通常業務でそんな経験をアサインするのは難しいでしょう。そんな中、一つ有効なのはプロジェクトをアサインしていくことです。プロジェクトテーマによりますが、短距離走でゴールを引くことも可能です。定型業務でも期間を区切ってフィードバックするなど、新人が成長実感を感じられるような仕掛けを意識することが肝要です。

 

 

 

【マネジメント】経験の浅い人ほど、自己評価高め

f:id:kumabou2016:20240227232113j:image

同僚とランチをしていたら、彼の部下について相談を受けました。能力低いのだが自信過剰な人物だそうで、どのように指導したらいいか困っているとのこと。今日は自信過剰な部下の指導について考えます。

ダニング・クルーガー効果

能力や経験値の低い人が自分の能力を過大評価してしまうことがあります。この認知バイアスをダニング・クルーガー効果といいます。自分自身を客観視出来ない故に、認知の歪みが生じます。こういう部下を持つと上司は厄介です。コミュニケーションが噛み合わないですし、人事評価は荒れます。また、ダニング・クルーガー効果が高い人は、責任を他責に推しづけがちです。周囲のせい、環境のせいにもしがちです。

インポスター症候群

過大評価があれば、過小評価してしまう人もいます。能力があるのに、「偶然だから」「ラッキーだったから」とこちらも、自分を客観視できない状態に落ち入ります。過大評価も過小評価も、その人の成長にはマイナスに作用します。成長には経験から学ぶ必要がありますが、客観視できないと、そもそも自分の成長に適した経験かズレてしまいます。また、他者からのフィードバックを素直に受け入れなくなります。

共に見ながらフィードバックする

過大評価、過小評価しがちな部下に対しては、根気よくフィードバックする他ありません。根気よくフィードバックする他ありません。フィードバックしても行動変容に繋がらないこともあります。教える内容にもよりますが、技能やスキルなどは、それらを利用する場面を映像で録画することがお勧めです。客観的映像を共に見ることで、他責に出来なくなります。

【人材育成】なぜ我々は頑張ってしまうのか?

f:id:kumabou2016:20240220155413j:image

自分ではそんなに頑張りつもりはないのだが、ついつい頑張ってしまうことありますよね。今日はこの「ついつい頑張っしまう」原因について考えてみます。

 

5つのドライバー

幼少期に親から言われた言葉の影響は大きいです。「しつけ」として繰り返し言われた言葉が、良くも悪くもその人の考え方や行動様式に影響を与えるものです。漫画、呪術廻戦は「呪い」がテーマですが、言葉のインパクトは強烈だなとも感じます。

心理学の交流分析の世界では、人を駆り立てる力をドライバーと呼び、誰もが五つのドライバーを示しています。

  1. 完全であれ
  2. 他者を喜ばせろ
  3. 努力せよ
  4. 強くあれ
  5. 急げ

 

この五つは幼少期に、親が子供のためを思ってつい「言ってしまう」キーワードです。これらのドライバーが適度に発揮されれば、その人の強みとなります。しかし、何事も度を過ぎると毒にもなります。完全であれ、他者を喜ばせろ、努力せよ、強くあれ、急げが呪いのような力を持つこともあります。その呪いは本人の心身を蝕み、大切な隣人をも傷つける力を持っています。

 

大切なのは、自分のドライバーを理解し、上手くいかない時は立ち止まってみることです。私は「他者を喜ばせろ」のドライバーが強いです。でも、毎回喜ばせることは不可能ですし、上手くいかないこともあると考えるようにしています。人間だもの。

 

 

 

 

【人材育成】若手の離職防止に効くのは、キャリア安全性

f:id:kumabou2016:20240212100950j:image

4月に新入社員研修を担当した企業から、この時期は新入社員フォロー研修のご依頼を頂くことが多いです。すると、すでに何人かはすでに退職しましたとお聞きすることが多いです。企業の人事担当者からは、新入社員の離職防止についてご相談も頂きます。今日は若手社員の離職防止について考えます。

転職は当たり前

最初に入社した会社が相思相愛だったらラッキーですが、なかなか難しいのが実際です。学生も限られた情報の中で就職活動しなくてはいけませんし、企業も全ての情報をオープンにすることは難しいです。配属先の上司や職場風土さ様々ですから。合う合わないは宝くじのようなものです。だから、若くして転職する若手がいるのは仕方ないものです。

ただ以前とちょっと様子が異なるのが、職場環境がちゃんとしていても辞める若手が増えている点です。

 

将来が不安

居心地が良いし、職場の人間関係も良い、給与も平均以上だし、残業も少ない。いわゆるホワイトな職場に務めていても退職を選択する若手がいます。「この職場にいて自分は何者かになれるのだろうか?」「ここを辞めてもやっていける市場価値の高い人材に成長出来るだろうか?」「会社ね看板に頼って仕事する上司や先輩のようになりたくない」

一つの会社で務めあげることは、もはや難しいことは明らかです。当の経団連や多くの大企業のトップも表明しているわけですから。若手はもっと切実に、自分のキャリア開発に不安を感じています。この点を人事部も管理職も気づいていないように見えます。私もその1人でした。

 

心理的安全性だけでは足りない

私も昨年20代の部下を新に担当することになりました。その若手から、初面談で「今の仕事にやり甲斐を感じない。将来の自分のキャリアに不安を感じてる」とあっけらかんと告白されたことに驚きました。その若手が以前所属していた職場も元上司も良い人という評判でした。その若手自身も優秀で将来が楽しみという、周囲からの評価を獲得していました。まさか初めての面談で、そんな独白をされるとは。。。

でも、前述したように彼ら彼女らのキャリア観からすれば当たり前の話です。優秀な人ほど、悩みも多いかもしれません。

求めているのは、キャリア安全性

私が20代の若手を育成する際に意識しているのは、現在の仕事が将来にどのように繋がるかを丁寧に意味付けするようにしています。将来も社内キャリアの文脈ではなく、この会社以外の文脈で語るように意識しています。

現在の仕事が、自分の将来にどのように続いているのかを丁寧に説明します。そのようき下地を整えた上で、ちょっとストレッチした仕事を担当させ、フィードバックを行うサイクルを回すようにしています。

一年回して、やっと本人からも「現在の仕事が面白い」「これまでより成長を感じられている」との感想を聞けるようになりました。

私にとっても、貴重ない気づきを獲得することが出来ました。心理的安全性は昔から、それこそ心理的安全性なんて言葉が誕生する前から大事にしてきました。しかし、キャリア安全性についてはこれまで意識はしてこなかったです。

社内で必要な能力を高めた後に、対外的なキャリアは開発出来るという考え方でした。しかし、若手は対外的なキャリアから逆算しての、キャリア開発を期待します。その辺りの価値観や感覚の違いを、管理職は理解しなくてはいけないように思います。

【人材育成】ホワイトな職場と若手の不安

f:id:kumabou2016:20240206170819j:image

「ゾンビになるまでにしたい100のこと」という漫画をご存知でしょうか?私は地上波のアニメで初めて知りました。ある日突然、街中にゾンビが溢れかえる地獄のような状況に、主人公は遭遇します。しかし、ブラック企業で働いていた主人公からすると、「会社で働いているよりゾンビが街中を溢れている状況の方が天国だ!」ということで歓喜します。人生を充実させるために、死ぬまでにやりたいリストを達成させていくという物語です。ブラック企業で働いている方が、死んでると同じという表現が秀逸だなと感じました。このブラック企業という言葉が誕生したのは2000年代初頭でした。その頃に比べてホワイトな職場も増えてきた印象です。しかし、ホワイト職場でも若手社員の悩みは尽きません。今日はホワイト職場と若手ビジネスパーソンの悩みについて考えてみます。

ホワイトな職場の増加の背景

ゾン100の主人公が働く職場は超ブラックですが、世の中的には表面上はホワイトな職場が増えている印象です。増えている背景としては、国の法改正がボディーブローのように効いているのだと捉えています。

 

ホワイトは緩いから辞める?

部下と雑談をしていたら驚くべきエピソードを聞きました。20代の部下の友人は、超大手企業に就職したそうです。給与も良く、残業もなく、上司先輩も優しい。恵まれた環境ですが、逆に恵まれ過ぎているので、自分はこの職場で成長出来るのだろうか?と不安を覚えて退職。スタートアップに転職したが、逆に今度は厳し過ぎて後悔しているという話でした。今ドキはそのように考える若手もいるのだと衝撃を受けました。

会社に不満はないけど、将来に不安を感じたということでしょうか。最初は驚きましたが、彼ら彼女らを取り巻く環境を考えたら納得してしまいました。社会も企業も、入社したら一生その職場で勤めあげることを良しとしていません。そんな職場はレアで、むしろ転職が当たり前。転職できるぐらいの力がないと、生き残りは難しいと考えられているようには感じます。だとすると、ホワイトな職場が永遠に続くわけではないから、早く何処でも通用するキャリアを開発したいと考えるのかもしれません。