クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【人材育成】職場のティーチングの基本 「分かった?」は禁止

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教え方には様々な種類があります。コーチング、経験学習、越境学習、そしてティーチング。人材育成のテーマを書いているのにティーチングに関してちゃんと記事を書いていないことに気づきました💦 という事で今日はティーチングについて考えてみたいと思います。

ティーチングと相性の良いテーマ

ティーチングに関してこれまできちんと記事を書いてこなかったのは、大人の学においてはそれ以外の手法が効果的だからです。大人は様々な経験、またそれらを背景とする価値観が学び方に大きく影響します。そのため、学校教育のように、知識を知っている先生から、知らない生徒に一方的に教えるやり方には否定的でした💦しかし、このような教え方が全て役に立たないわけではありません。学習者の習熟度、テーマによってはティーチングは効果を発揮します。どんなテーマでも、初心者や入門者にとってティーチングは効果的な教え方です。

 

教えるステップ

  1. 教わる準備を整える
  2. やってみせる
  3. やらせる
  4. フィードバックする

まずは教わる準備を整えることが最初の作業です。初心者や入門者は緊張します。意欲があっても緊張しすぎると、教わったことも右から左に流れていきます。そのため、教える前にイントロが必要になります。学習目的や学習ゴールを伝えたり、習得したスキルや知識がどんな場面で役立つかも伝えてください。

 

分かった?禁止

次に手本を示しながら、必要な情報を一つずつ順番に説明します。その際に、上司や先輩は「分かった?」と尋ねがちですが、これはよくありません。後輩や部下の立場からすれば、分かっていなくても、「分かった」と言いがちです。そこで理解を確認するたみの最善の方法は、教えた内容を本人から説明してもらうことです。説明の内容を聞けばどこまで理解しているか確認することができます。教える側と教えられる側では成熟度が異なります。教えられる側がどこで躓くかは、教える側は分からないことです。だから教える側は相手の表情も観察しながら、教え方を工夫しなくてはいけません。後は教える側の忍耐力も大切です。何度同じ事を聞くんだ?何度同じミスをするんだ!と叫びたくなるときもあるかもしれません。でも、出来ないのは教える側にも問題があると思って、辛抱強く指導する他ありません。

 

やらせてみる

作業にもよりますが、一緒にやってみることがお勧めです。部下や後輩は余計に緊張するでしょうが、そのプレッシャーも含めてトレーニングです。声かけや励ましの言葉の一つもかけてあげてください。また、どれぐらい本人にストレッチさせるかも重要です。これぐらいの作業が適当と考えていたら、本人にとってはストレッチし過ぎてたというケースもあります。

 

フィードバックする

ティーチングで最も大切なのはフィードバックです。フィードバックにも工夫が必要です。主観的な「あなたは○○だ」とフィードバックもいいですが、それらに加えて、状況、行動、影響についてもフィードバックするとより効果的です。○○の場面で、○○の行動によって、私は○○のように感じた。そして、フィードバックはポジティブな内容とネガティブな内容の両方を伝えてください。出来ればポジティブ3、ネガティブな1ぐらいの割合がお勧めです。ネガティブ1つが、ポジティブ3ぐらいの破壊力があるからです。特に最近の若手社員は自己肯定感が低い人が多いので、よりポジティブのフィードバックは意識されるといいでしょう。

【マネジメント】マネジメントの常識が、非常識になる時代

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今週は現代の管理職の実態について考えてきました。今日は現代の管理職がマネジメントを行う上で、リスキルすべき課題について考えてみたいと思います。

東日本大震災とワンマン管理職の衰退

マネジメントの機能は、もの凄く乱暴に申し上げると「機会損失を最小限にすること」です。無駄なこと、無理なことをしているが故に、本来なら10台製品を作れるところを8台しか作れないとか、100杯のラーメンを販売できた所を段取り悪くて70杯しか売れなかったということを回避するためにマネジメントを行います。だから管理職は重箱の隅をつつくような指示命令が多くなりがちです。また、2000年代までは「ワンマン管理職」が評価されていました。機会損失を最小化するためには、部下に指示を出しその通りに動いてもらうほうが理に適っています。部下と丁寧なコミュニケーションをする管理職は、人身掌握が出来ない管理職、リーダーシップが発揮できない管理職として社内からは評価されてきました。でも、ワンマン管理職が成立するには大前提があります。それは、その企業のビジネスモデルが有効であるということです。

このビジネスモデルに一石を投じたのが、東日本大震災だったように思います。この震災をきっかけに、社会は改めてコミュニティの重要性に気づかされました。当然、企業もその重要性に気づき始めます。特に中小企業はこれを機に人を大事にする経営に切り替えて、その後発展した例は少なくありません。しかし、大企業はその規模の大きさ故に、分かっちゃいるけど変化できず苦しみます。今、管理職を務めている人の多くは、このタイミングに現在のポジションに上がったのではないかと思います。

しかし、管理職になった途端、これまで扱うことのなかった問題に直面します。SNS浸透によるコンプライアンス対策、ハラスメント対応、ダイバーシティ、組織開発、ONE ON ONE、コロナ対応、リモートワーク、DX。。。全部、企業が未経験の施策ばかりです。管理職は大変なのは当たり前です。対応するためにさ、従来のマネジメントの考え方やスキルを変化せざる得ないわけです。

 

現代の管理職さ何をリスキルすべきか

どんな職種、どんな業種の管理職でもリスキルすべきはチームビルディングだと私は考えます。私たちは前例のない課題に取り組まなくてはいけません。誰も正解なんて分からないわけですから、チームで考えて行動する他ありません。ただ、リスキルと言ってもそんなに難しいことではありません。私がお勧めしているのは、職場のメンバーと一緒に、職場の運営方針を考えてみることから始めてみることです。これまでは、多くの場合は管理職が一人で考えるわけです。メンバーもそれを考えるのが管理職の仕事だろと思っています。それらを一回、ぶち壊してみてください。最初は物凄く勇気がいりますが💦 メンバーへの問いかけはたった二つです。「現在の職場はどんな状態か?」「一年後までにどのような状態にしたいか?」自分を含めてメンバー全員に書いてもらい、一斉に出し合ってみてください。そこから話し合いをスタートさせると、メンバーの色々な想いに気づくことができます。注意すべきは必ず書かせること。口頭だと声の大きい人に引っ張られます。もう一つは、管理職の覚悟です。最初は上手くいきません。寧ろ職場は混乱し、生産性は落ちるかもしれません。上手くいかなくてもブレずに1年間やり抜くことです。やっぱり自分がリードせねばと、やり方を元に戻した時点で終わりです。ただ、ブレずにやり続ければ、その果実は素晴らしイノは間違いありません。

 

 

【人材育成】年代別、管理職の育成法

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管理職と一口に言っても多様な年代がいます。50代〜30代後半ぐらいかと思います。管理職の役割は同じですが、育ってきた環境によって育成課題が異なります。今日は年代別の管理職の課題について考えてみたいと思います。

50代管理職

現在の50代から40代後半の管理職を理解する為には、育ってきた時代背景を理解しておく必要があります。若手時代はバブル全盛期でした。成長は右肩上がり、それに伴い組織規模も拡大しました。仕事へ与えた影響は分業化です。分業化に伴い職場の仕事のやり方に精通することが求められます。仕事のやり方を決めたり、教えたりするのは上司です。だから、上司といい関係を築くことが仕事を覚える上では大切でした。また、上司からの引きが、出世にも大きく影響を与えました。そのため、多少上司が嫌だろうが我慢するのが当たり前という感覚を持つ人が多いように感じます。当然、このような背景は仕事の仕方にも影響を与えます。上司の言う事を卒なくこなし、前年比ベースで業績を伸ばしていくスキルを得意とするようになります。そういう人材が重宝され出世してきました。だから50代の管理職はいかに与えられた目標を卒なくこなし、いかに失敗しないかの局面で強みを発揮する人が多いです。バブル崩壊してそれまでの上司の多くがリストラされたのを目撃してますから、保守的にもなります。

でも、コロナやDXで状況は一変しました。経営者が管理職に期待しているのは変革です。0から1を生み出す能力なわけです。これは辛いです。管理職と言っても50代は部長職も多いです。この部長職が企業の中で変革を阻む重石になっていることが多いように見えます。

 

ロスジェネ世代の管理職

30代後半から40代前半の管理職はいわゆる就職氷河期を経験したロスジェネ世代です。入社したはいいが後輩が入ってきません。そのため、久しく若手扱いを受けてきました。そして気づいたら、いきなり管理職に上がり部下を指導する立場になってしまった人もいます。部下は年下だけでなく年上もいます。後輩の指導経験も乏しいのに、いきなり部下を持つ訳ですから人間関係の構築に難義するのは仕方ありません。

また、この年代はちょうど評価制度が成果主義に変わった時に評価を上げてきた経験を持ちます。本当に実力がある人もいますが、その一方で出来るだけ楽で、かつ見栄えが良く、分かりやすい数字が出やすい仕事をして評価されてきた人もいます。こういう人は、他人の仕事を奪ったり、責任をなすりつけあったりする術に長けています。部下の立場からすると、仕事が出来ると聞いていたのにちょっと違うなという感覚を持つ場面も多いようです。

 

年代別、管理職の育成課題

40代後半、50代はパラダイムの転換が求められます。パラダイムとは前提としていたモノの見方や考え方です。これまでは10を11.12に伸ばすことが求められてきましたが、0から1を創る力を期待されることが増えてきています。優秀な人はそのことを理解しているので、自分自身を変化させたり、自分では無理だと感じたら優秀な部下に任せて自分は一歩引いた立ち位置でサポートしたりします。パラダイム転換できていない人は、口では変革を唱えますが、考え方やマネジメント手法は従来通りなので、なんちゃってDX、なんちゃってSXが始まって周囲も会社も大変なことになります。

 

ロスジェネ世代の管理職は、自分の頭で考えることが出来る人が多いのが強みです。その一方で、コミュニケーション能力には課題があります。後輩は入ってこないし、中途半端な成果主義、中途半端な個人評価を生き抜いてきた人が多いわけですから。コミュニケーションを通して、チームを構築するのは苦手な人が多い印象です。チームビルディングスキルが課題になることが多いように見えます。

もっとも対象者個々で育ってきた背景や経験も異なるので、実際に育成計画を検討する際はもっと丁寧に分析する必要があります。

 

異端管理職の時代?

最近、超大手の企業ではユニークな経歴、面白い仕事をしている管理職に出会う機会が増えてきました。従来であれば、絶対その企業では管理職になれないような人材です。経営もその辺りは従来通りの人材では物足りないと考えているのだろうと感じます。もっとも1人の異端児がいるだけで、組織風土が変わるわけではありません。組織の在り方をどうデザインしていくがが企業にも求められる時代ですね。

【人材育成】どこで学ぶかより、誰から学ぶか

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私の生業は企業の人材育成支援です。仕事柄、お客様から個人的に○○のテーマを学びたいけどお勧めのセミナー教えてください。なんて相談を頂きます。そんな時は知りうる限りの情報はお伝えします。現在は有料、無料のセミナーだったり、社会人向けビジネススクールだったり学ぶ機会が溢れています。今日はそんなセミナーや学校の選び方について考えてみます。

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玉石混交な学びの場

セミナーやビジネススクールなどの情報はスマホを弄ればすぐに検索できます。最近はInstagramに勝手に興味がありそうなセミナーの告知が来る便利な時代です。しかし、これらのセミナーは玉石混交です。名のある大学が運営しているセミナーやビジネススクールであっても、必ずしも質の担保を補償するものではありません。

 

何処で学ぶかより、誰から学ぶか

セミナーやビジネススクール、私が所属するコンサルティングファームもそうですが、何処で学ぶかより、誰から学ぶかの方がより重要です。当然、歴史や知名度が高い組織により優秀な人材が集まる傾向はありますが、やはり誰がの方がより重要です。しかし、誰がいいなんて分かりませんよね💦 間違いないのは、経験者や卒業生に聞くことです。評判はかなり重要な物差しになります。また、最近だとYouTubeでしょうか。ただ、YouTubeは説明の上手い下手は分かりますが、それがイコール指導の上手さではない点は気をつけなければなりません。

 

目的を明確にする

また、セミナーやビジネススクール選びで重要なのは学びの目的を明確にすることです。ある知識を深めるのが目的なのにワークショップ中心のセミナーではストレスが溜まります。逆もまた然りで様々な人との対話を通して視野を広げたり、ある物事に対する探求を深めたいのに、ひたすら一方的な講義を聞かされるのは苦痛ですよね。つまり、学ぶ側が目的を明確にしておくことは重要です。

【人材育成】大人の学びは、人のご縁とタイミング

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私の生業は企業の人材育成を支援することです。イメージしやすいのは、管理職研修や新入社員研修です。これら研修は教室の中で講師が受講者に対して伝える形式です。これらの形式はビジネスパーソンの学びでいうと僅か10%の影響しかありません💦 今日はビジネスパーソンの学びについて考えます。

インフォーマルな学びでみんな育ってきた

昭和、平成の時代を企業人として駆け抜けてきた人は同意されると思いますが、ビジネスパーソンとしての学びは、インフォーマルな場にありました。残業後の居酒屋で上司や先輩との熱い仕事談義の場。煙草部屋で一服しながら仕事の苦労話を共有するなど。

日本人は学校教育に慣れ親しんでいるので、学ぶ=先生から学校などの教育機関で知識を伝達することを想起する場合が多いですが、実際に役に立って学びを振り返ると前述したようなインフォーマルな場の方が多かったと思います。つまり、社会には様々な学びの場があることを忘れてはいけません。

 

インフォーマルな学びの弱点

インフォーマルな学びの特徴は口伝です。人づてに情報に入手し、そこから学ぶことができます。この学びが優れているのは、現場の知恵が吸収できること。場合によっては最先端の学びも入手することが可能です。

以前、家電メーカーの修理部門の人材育成メニューを作成支援する機会がありました。そこで修理部門のハイパフォーマーにインタビューさせて貰ったことがあります。興味深い話ばかりでした。一例を紹介すると、家電に弱いお客様から修理を依頼された時は、わざとお客様に修理箇所が見えるようなアングルで修理するそうです。何故なら、ちゃんと修理していないのではないか?と心配に思うお客様がいるからだそうです。修理箇所を見えるようにすることで、ちゃんと修理してくれている感が増すそうです。彼らはこれらのノウハウは休憩室での雑談で共有していました。「今日はこんな難しい現場に遭遇したけど、こんな風に対応したら、上手くいった」という具合です。

しかし、このインフォーマルな学びにも弱点があります。それは学びの場が、人の御縁とタイミングに大きく作用される点です。自分が学びたい領域に詳しい人に出会わなければ、学ぶことはできません。また、普段からの関係性構築にもコストがかかります。前述した家電修理を思い出してください。この場合だと仕事ができる先輩から後輩への伝達でした。でも、先輩がどの後輩たにも同じように技を伝えていた訳ではありません。可愛がっている後半だから、たまたま同じタイミングで休憩室で寛いでいたから。。。人の御縁とタイミングに大きく影響される訳です。また、教えてもらうには貴方が相手にとって有益な情報を持っていると認知されなくてもいけません。そう考えるとインフォーマルな学びはハードルが高いのかもしれません。