クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【組織】金魚を飼うなら、水を飼え!

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今日は私の専門のお話です。私の生業は人材育成です。読んだまんまですが、人材を育成するのが仕事です。しかし、この前提が大きく変わるような地殻変動が起きています。ワンワードで申しあげれば「人より文化」です。

 

 

金魚を飼うなら、水を飼え

この言葉はコピーライターである糸井重里さんの言葉です。今はほぼ日手帳を世に送り出す事業家ですね。「人より文化」という話をする時に分かりやすい比喩が糸井さんの言葉です。金魚を飼育するなら、金魚を飼う水の管理をしっかりしなさいという話です。金魚を飼うときの基本ですよね。

今、企業や学者さんが関心を持って研究しだしたテーマも金魚の飼育の比喩と同じです。我々は人材という個に焦点を当てて来たけど、組織文化に働きかけることが重要なのでは?という考え方です。

 

社会構成主義が土台

ちょっと難しい話になるのですが、上記のような文化に働きかけることが重要だと考える人々が共通認識として捉えているのが「社会構成主義」です。凄く乱暴に解説すると、「客観的な真実なんてこの世にないんだぜ!人々がどう意味づけするかで世の中は構成されているんた!」という考え方です。だったら、人々の意味づけを変えたら社会も変わるだろうという論理です。企業にあてはめれば職場の文化を変えたら、人々も変わって、業績も変わるだろうという話です。これを専門用語で「組織開発」と呼びます。

 

「組織開発」には戦国時代

組織開発という言葉が、企業の人事担当者界隈で爆発的に流行りそうな予感がします。一般の人からすれば、「はぁ〜」ていう感想でしょうが💦 しかし、肝心の「組織開発」の流派は群雄割拠状態。学者、実務家がさまざまな主張を展開している真っ最中です。そんな中、頭1つ抜け出しそうな方法論が対話です。

 

対話の重要性

人々の意味づけを問い直すには、何を考えているかお互い話さないと始まらないですよね。だから対話することが大切です。時には対立する必要もあるかもしれません。いや組織なんて対立だらけですよね。製造部門と営業部門、経営と現場、品質とコスト。。。あっちを立てれば、こちらが立たず。お互い妥協しながら、擦り合わせをしていく事を日本企業は得意としてきました。そうすることが企業の成長には効率的でしたから。しかし、変化が激しい現在、そのやり方に閉塞感を経営も現場も感じているんだと思います。閉塞感を打ち破る手立ての1つとしても対話が注目されてると思います。

 

 

【人材育成】心技体じゃなくて、体技心

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スポーツ好きな人は、「心技体」という言葉は一度は聞いたことがあると思います。ビジネスの世界でも、体育会系の上司や先輩は人材育成のキーワードでこの3つのキーワードをよく使われるように思います。今日はビジネスにおける「心技体」について考えてみたいと思います。

 

 

 

心技体とは

精神力(心)・技術(技)・体力(体)の総称。スポーツ界でよく使う。「心技体のバランス」 出典:デジタル大辞泉

 1953年に柔道家道長伯氏が、フランス柔道連盟会長の「柔道とはいったい何か?」との問いに「柔道の最終的な目的は心技体の錬成であり、それによって立派な人間になることです。技術を習得するには強靭な精神力が必要です。」と答えたのが「心技体」という言葉が広まったきっかけと言われています。

 

嫌いだった精神論

中学生の時、部活でサッカーをしていました。その時の顧問の先生が精神論全開のお人でした。日大アメフト部も真っ青なスパルタ指導でした。まあ、それで嫌気がさし高校からはサッカー辞めて、登山部に鞍替えしました。登山部への転向を考えさせてくれたという意味では理不尽な指導も、私の人生には役だったわけですが。。。でもそれ以来精神論やスパルタ指導を強いる指導者に対しては憎悪に近い感情を抱いていました。

そんな私ですから、仕事を初めた頃に上司や先輩から「心技体」と絡めた薫陶を受けても1ミリも私の琴線に触れることはありませんでした。そんな私が大勢の部下を持ち、指導する立場になると「心」は大切だと思うのはなんとも皮肉な事態です。ただし、その順番は「心技体」ではなく、「体技心」です。

 

 ビジネスの世界は、体→技→心

ビジネスの世界では、どんなに崇高な思いがあっても「技術」がなければ何も表現できません。お客さまは満足の対価にお金を支払うのであって、想いにお金を払うわけではありません。「技術」を身につけるには、長い時間と経験が必要です。量を熟さないと質は生まれてきません。量をこなすために大切なのは健康(体)です。つまり、体がベースであってこそ初めて技術(技)です。でも、技術が高まれば高まるほど、技術だけでは越えられない領域があることに人は気づきます。体力・技術の高いビジネスパーソンの戦いの中で、髪一重の差を分けるのが想い(心)だったりします。だから私は「体技心」の順番が人の成長においては大切だと考えています。

 

今回の記事を書くために、「心技体」について改めて調べてみました。元々は、柔術独習書という本に書かれたのが起源のようです。柔道の目的として

  1. 身体の発育 (体)
  2. 勝負術の鍛錬(技)
  3. 精神の修養(心)

元々の順番は、体技心だったみたいですね。

【人材育成】 専門職とは何か?

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伝統的な日本企業では専門職は、管理職(ライン)になれなかった人というネガティブなイメージを持たれることも多いのではないかと思います。複線型人事制度を取る会社は多いですが、専門職の明確な定義がなかったり、給与の面でも魅力がなかったりすることも少なくありません。今日は専門職について考えてみたいと思います。

 

 

専門職とは

自分の専門とする領域について、素人とは格段上の「見ればその差がわかるだけの能力を持った人」同寺に「銭をとれる人」だと私は定義しています。例えば、Jリーガーをイメージしてみてください。プロになれるのはほんの一握りの人間です。心技体と運もなければプロとして活躍し続けることはできません。器用なアマチュアが少し練習すれば到達できるレベルではありません。企業で働く専門職も本質は全く同じです。担当する領域で圧倒的な技術を持たなくてはいけません。かつ、その技術で利益を稼ぎださなくてはいけません。企業でマイスター制度などの専門職を認定しているケースがあります。このケースで問題になるのは、技能や知識で専門職を決めている点です。企業内で活躍するには、技能や知識を保有しているだけでは不十分です。技能や知識を発揮して企業収益に貢献できなければいけません。給料だけ高くて、経営活動に寄与しない専門職であれば、周囲からの視線も自然と厳しくなります。何より専門職制度として長続きしません。

 

専門職が活躍できる場が大切

勿論、企業内で専門職が活躍するためには本人の努力は不可欠です。しかし、活躍の場がなければ専門スキルを発揮することもできません。専門職制度を導入する企業は、専門職が活躍できる仕事をアサインすることもセットで検討しておくべきです。でなければ専門職本人のみではなく、周囲の社員のモチベーションやキャリア開発にも悪影響を与えるためです。周囲で専門職が輝いて働けていなければ誰も憧れませんから。

 

専門スキルこそ、基本技術が大切

専門スキルというと、最先端な技術や特殊な技術を想像しがちです。もちろんそういった技術も大切なのですが、最も素人と差がつくのは基本技術です。例えば、私の好きなサッカーを例えに話してみます。サッカーの基本技術といえば、ボールを止めること。そしてボールを蹴ることです。世界的なプロサッカー選手になればなるほどこの2つの基本技術が高いことが試合を見ればわかります。ボールを止めるという動作一つとってみても銭をとれる選手は、試合や局面の状況にあわせながら、もっとも有効な位置にボールを止めることができます。体の向き、ボールを置く場所、次の動作との連動・・・。コンマ何秒の世界で、複数の選択肢を考えながら決断し実行できる。これを専門用語では「行為の中の省察といいます。専門家の基本技術はそれぐらい奥が深いのです。だからどの分野でも際立った専門技術を発揮できる人は基本技術を大切にします。

 

専門から離れることが、専門職として輝き続けられる

「専門から離れることが、専門職として輝き続けられる」とは禅問答のようですが、真実です。専門家はその専門技術があるがゆえに、素人とはあきらかに違うパフォーマンスを発揮できます。しかし、そこに落とし穴があります。あまりに高度な専門性をもつが故に、狭窄視野に陥りがちです。⚪️⚪️を実現するためには⚪️⚪️のコツが必要」「⚪️⚪️の解決には⚪️⚪️の方法が一番」。その仕事固有の定説にこだわるがあまり、新しい発想が浮かばないという奴です。だから、長く専門職であるためには素人の発想を持ち続けることも大切です。好奇心旺盛な人といってもいいかもしれません。

【人材育成】マインドフルネス研修を体験してみた

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先日、マインドフルネスの研修を受講してきました。ということで、今日はマインドフルネスのお話です。

 

 

マインドフルネスって何?

最近、書店でマインドフルネスと書かれた書籍や雑誌での特集を見かけることがあるかと思います。座禅やヨガと同じような、そうじゃないような。。。

 

マインドフルネスの定義は、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け集中すること。評価せずに、捕らわれのない状態で、ただ観ること」とのこと。

 

ポイントは、2つ。」意図的に意識を向け集中すること」「評価せずに」です。ただぼっーとしているのはマインドフルネスとは違うってことです。研修では最初に、「3分間ぼっーとする」演習を体験します。ダラー、ぼっーとするのですが、頭の中では様々な思考が浮かんできます。ちなみに、私はNHKのバラエティー番組のチコちゃんに叱られるの「ぼっーと生きてんじゃねーよ」のフレーズが頭の中で何度もリフレインしていました💧その後、呼吸を意識して再びぼっーとします。これだけで、一回目よりは煩悩は減りました。

 

2つ目に大切なのは、「評価しない」ことです。「今、集中出来てるとか」「違うこと考えては駄目だ」なんて評価しないことだそうです。頭の中に次から次へと考えが湧いてでてきますが、右から左へ受け流すことがです。

 

マインドフルネスと座禅やヨガとの違いは、座禅やヨガはマインドフルネスに至る手段だということです。まあ目的は一緒ですよね。

 

Googleがマインドフルネスを取り入れる理由

マインドフルネスはアメリカの西海岸でブームとなります。ブームを決定的にしたのはGoogle社が社内研修でマインドフルネス研修を取り入れてからです。Google社内で現在でも最も効果がある研修だと認識されているそうです。

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

 

 

ドメスティックな日本企業の私からすると、Googleのような先進的な企業であるからこそ、マインドフルネスのような新しい切り口の研修が受け入れられるのだと思い込んでいました。しかし、実際にGoogle社の人にお話を伺うとその認識が誤っていたのが分かりました。Googleに入社する人は、ハイパフォーマーと言うか、天才と言うか、癖があると言うか。まあ、一家言ある人達ばかりです。会社が主催した研修でも価値を感じなけれざ受講もしません。

 

Google社でマインドフルネスが導入できたのは、脳科学エビデンスをこれでもかと突き提示したからこそとの事でした。最初は半信半疑で研修を受講した社員が効果を実感することで爆発的に普及しました。経営の視点からも、マインドフルネスは社員の生産性を高めるとの報告事例が多数上がっていました。具体的には週3回マインドフルネスを習慣化している個人と組織の生産性は、していない人よりも高いという結果でした。

 

また驚いたのは、いまやアメリカのIT企業では、マインドフルネスの研修や、マインドフルネスが実施できる環境がある事が、優秀な社員のリクルートやリテンションに取って重要である。いや重要を通り過ぎて当たり前だと考えられているそうです。「えーマインドフルネスできないの?人に優しくない企業だよねー」と認識されてしまうそうです。

 

家でも実践してみた

私は以前、皿洗いが家の仕事でした。最初はいやいやながら、最後は皿洗いでマインドフルネスのような感覚を味わうまでになりました。しかし、新居になって食洗機を導入してからは皿洗いがなくなりました。家事的には楽になったのですが、マインドフルネスからは遠ざかっていました。今回、マインドフルネスの研修を受けてから、寝る前に5分間の呼吸法を取り入れています。眠りに入るのは深くなったように感じています。もう少しつづけて効果がでたらまたご紹介したいと思います。

 

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【人材育成】地位が人をつくるは幻想

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今日も人材育成の話。昔から「地位が人をつくる」という言葉があります。能力的にも人格的にもその地位にふさわしくなくても、地位につけることで成長するという格言です。企業の経営陣と話しても割と出てくる会話です。「管理職に引き上げることで、成長することを期待しているんだよ。地位が人をつくるともいうからね」でもそんな時ははっきりとNoとお伝えしています。

 

地位が人をつくるのは幻想

仕事柄、数多くのビジネスパーソンと私はお会いします。新任管理職研修を担当する際に、人事部から「A君は管理職としては物足りないんだけど、抜擢人事をすることで一皮向けて欲しいと考えているんです。」なんて言われます。でも、会社からの期待とは裏腹に地位が人をつくることはありません。正確にいえば、準備している人が地位につくことで一皮むけることはあります。

準備とは具体的には、権限が全くない時代に車内の部門横断のプロジェクトを担当して成果を出したりする経験を踏んでいるということです。そのような経験を通して、自分の中で教訓を獲得することで、いざ管理職になった時に飛躍的に成長します。

そのようなプロセスを踏んでいないと、しかるべき地位に就いても何をしたらいいかわかりません。でも本人も弱音も吐けないですしね。自分でも手応えもないまま、管理職の役割を演じつづけることになります。まだ自分の実力不足を感じながら役割を演じている分には救いがあるのですが勘違いしてしまう輩もいます。そんな輩がしかるべき地位に就くと周囲はたまったもんじゃありません。会社としても一旦、その人物を引き上げたら格下げすることもできないですしね。引き上げた判断が誤りだったとはなかなか認められません。

 

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しかるべき時期にしかるべき経験を踏むことが大切

2000年に入った頃、階層をフラット化に変更した大手企業が多数ありました。目的は従来の階層別組織では意思決定が遅いという理由でした。確かに意思決定は早くなったのですがその反作用もありました。管理職の人材が育たないという現象です。従来の階層組織では、主任、係長というプロセスを通して後輩指導や少数の部下指導の経験を獲得することができました。まさにプレマネジメント経験です。プレマネジメント経験をしているから課長になって多くの部下を持つことになっても対応、成長することが可能だったんです。一握りの優秀な人を除けば、しかるべき時期にしかるべきプロセスを踏む経験が非常に重要になります。