マネジメントを行う上で職場のコミュニケーションはとても重要です。そんなことは、働いた経験がある方は誰でも分かっている話です。しかし、実際にはコミュニケーション上手な管理職とそうでない人で分かれます。その差は、ほんのちょっとした聴き方の差だったりします。今日は管理職の傾聴について考えてみます。
聴くとは心に寄り添うこと
九州の営業責任者をしていた事がありました。エリアは九州・沖縄地域の全域です。当然、メンバーは月に何回か担当地域に出張に向かいます。出張の前にメンバーは、上司の私に目的や訪問先を報告してくれます。その時に意識していたのが、「聴く」ことです。話の内容だけでなく、メンバーの表情に注目していました。報告の際にメンバーが浮かない表情をしていると、「あれ?いつもと表情が違うな。何か不安な事があるのだろうか?」とか勘繰ってしまいます。そんな時は、メンバーによって声がけの仕方を変えていました。例えば「出張は移動だけでも大変で憂鬱になるよね。今回の出張で不安なことある?」相手の心に寄り添うことを意識していました。聴くは、話の内容だけでなく、相手の表情、仕草、アイコンタクトを含めて見ることで、相手の状況を掴み、出来うれば相手の心に寄り添うことだからです。
管理職の傾聴の目的
- 信頼関係の構築
- 業務の質の向上
- メンバーの成長
管理職が傾聴する目的さ3つです。人は話す人より、自分の話を聴いてくれる人に信頼を寄せるものです。「私のことを分かってくれている」「私に関心を持ってくれている」とメンバーが実感できば、信頼して一緒に行動してくれます。管理職はメンバーより実績や経験があるケースが多いのですし、自分が職場をリードしなければと気負いがちなため、つい自分の話を優先しがちになるので注意が必要です。
傾聴の仕方
- 共感し受け止める
- 自分の心を整える
- アイコンタクト
- うなずき、しぐさ、あいづち
- 繰り返し
- 話の要約
まず基本姿勢として共感し受け止める姿勢を大切にしてください。共感とは相手の喜怒哀楽の感情を共有することであり、相手の言いたい事、感じて欲しいありのままに理解することです。管理職は忙しいので、そんな悠長な時間など取れないという方もいると思います。「うだうだ言ってないで、仕事なのだからしのごの言わずにやれ!」と言いたくなる気持ちも分かります。でも、それではメンバーの力を引き出すことはできません。一見遠回りのようですが、共感する姿勢を持っているか否かで、メンバーのパフォーマンスは変わってきます。そのためには、自分の心を整えていくことが必要です。自分に余裕がないと傾聴はできません。アイコンタクトも管理職は忘れがちです。例えば、メンバーから話をしている時にパソコンで作業をしながら話を聞くとか。メンバーからすれば、自分の話よりこちらの作業の優先度が高いと言われているように見えてしまいます。
頷きや前に乗り出す姿勢は、「あなたの事を私は尊重してますよ」というサインになります。せっかくメンバーの話を聴く機会を設けても、聴き方が上から目線だと、残念な結果になるので、しぐさや相槌、声のトーンやテンポの引き出しを増やすようトレーニングすることです。一番のトレーニング方法は、パートナーの話を聴くことです。