クマ坊の日記

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【経営】えちぜん鉄道を貸し切って研修してみた

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福井の旅では、えちぜん鉄道を借り切って、走る電車の中での研修を体験しました。なんとも贅沢な経験をさせて頂きました。今日はえちぜん鉄道さんのお話です。

 

えちぜん鉄道とは

福井県福井市に本社を置き、福井県北部で2つの鉄道路線を運営する鉄道会社です。ユニークな経営が有名で、全国の鉄道事業者が視察にやってくる会社でもあります。ユニークな経営が生まれたのはその歴史にあります。えちぜん鉄道が走っている路線の歴史は古く、大正3年に開業しています。その当時の駅舎は今も残っていて、永平寺口駅で町民が利用できる多目的スペースとして使われています。えちぜん鉄道の前は、京都の京福電鉄がこの路線で鉄道の運行をしていました。しかし、2000年、2001年と1年間の間に、2度列車衝突事故を起こしてしまいます💦 列車の正面衝突の事故が1年に2回はひどいですよね。時の国土交通省は路線の無期限停止を即座に決定します。電車の運行が停止し、バス代行が行われるようになりました。バス運行は2年5ヶ月に及んだそうです。しかし、雪国です。バスだと定時性が確保できません。道も悪いので車酔いなども多発。利便性が悪いので、バス離れが進んだそうです。バスに乗らない住民は代わりにマイカーを利用します。すると交通量が増加し一般道の渋滞が激しさを増しました。そんな背景もあり、周辺住民は改めて鉄道の重要性を感じるようになりました。そしてその問題意識から、鉄道の存続運動が巻き起こります。そんな住民運動のかいもあって、鉄道が復活することになります。しかし、住民から一つ注文が出ます。「鉄道は欲しいけど、京福鉄道は嫌だ!」そこで生まれたのが、えちぜん鉄道になります。鉄道会社は変わっても、人は京福鉄道の人材が移籍してきたと思っていましたが、実際はほとんど移籍できる人はいなかったそうです。全員と面接をしたが、新しい鉄道会社を作っていくことに前向きなマインドを持っている人がいなかったためです。創業当時のえちぜん鉄道は、社員の9割が鉄道事業の素人が集まってのスタートでした。

 

えちぜん鉄道のここが凄い

えちぜん鉄道の企業理念は「地域、社会との信頼を基本におき、お客様への安全性、利便性、快適性を通して、地域共生型サービス企業を目指します」ポイントは地域共生型サービス企業です。前述したように事故を契機に、地域の住民活動から誕生した背景を大切にしてきています。地域の皆様、行政、えち鉄の3社がガッチリスクラムを組んで事業運営をしています。えちぜん鉄道の社員からは、意思決定の軸は「利益」ではなく「地域」です。地域にとって最良のことは何か、えちぜん鉄道を次世代にも残していくためには何が最良かを判断軸として大切にされているとのことでした。当然、そのような企業姿勢は地域の人々の伝わります。それが下記のような活動として展開されます。

  1. えちぜん鉄道サポート会(区長、自治体のイベント)
  2. ボランティア(駅周辺の清掃、美化活動)
  3. サポーターズクラブ
  4. 市民参加型のまちづくり企画
  5. コミュニティバスのダイヤ調整
  6. イベント(永平寺灯篭流し、左義長祭、三国祭)
  7. 個人、遠足・団体の利用促進
  8. 駅の整備(駐車場無料)

www.echizen-tetudo.co.jp

 

各種施策に興味がある方は、えちぜん鉄道のホームページをご参照ください。今日は特にユニークな施策を一つご紹介します。

 

アテンダントの導入

開業当初は前鉄道事業者より駅施設を譲り受けたため、施設の不具合が多かったそうです。

  • 駅舎やホームがバリアフリー化されていない(スロープもなく、電車とホームの間に大きな段差、階段の段差も大きい)
  • 駅周辺にサインがなく最寄り施設、バス停が分からない
  • 無人駅が多く、切符の購入方法や乗り継ぎ方法が分からない

でも高齢化が進む地域ですから、バリアフリーは切実な問題だったそうです。お金がないので、すぐに施設を補修することもできない。そこで、えち鉄が考え出したのは、電車内で乗降補助や案内など、きめ細やかなサービスができる人材(アテンダント)を導入することでした。ハードではなくソフトのバリアフリーを進めたわけです。電車に1人、女性のアテンダントが搭乗していて、お客様の乗降補助、乗車販売、観光・乗継案内の業務を担当します。電車に乗る、おじいちゃん、おばあちゃんからすればとても心強いですよね。ちなみにアテンダントを主人公とした映画も作られています。

 

リアルだからこその学び

今回はえちぜん鉄道を貸切り、えちぜん鉄道の車内で、えちぜん鉄道の営業部長から、えちぜん鉄道の取り組みについて語っていただきました。ケーススタディの教材としても学ぶべきことが多いですが、今回のように現地に来て話を聞くからこそ、伝わってくることは多くあります。どんな思いで活動をしてきたか、どんな環境なのか、現地でしか学べないことだなと改めて感じました。

 

最後のおまけ

えちぜん鉄道は、当初、九頭竜川鉄道という社名になる可能性も高かったそうです。美しい九頭竜川に沿って走っていますから。しかし、初代社長が日本人は名前を短くして呼びがちだから、九頭竜川鉄道だと「くず鉄」になるかもしれないと危惧して、現在の名前に決めたそうです。「えち鉄」の方が可愛いいですよね。ネーミングセンスは英断だったと思います。