クマ坊の日記

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【経営】伝統的な企業が、デジタル人材を採用するために必要なこと

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私の生業は企業の人材育成を支援する仕事です。お客様は社名は明かせませんんが、伝統的な、いわゆるネームバリューがあるお客様が多いです。そんなお客様の経営層とお話をしていると、「我が社も、デジタル・トランスフォーメーションの視点でビジネスを構築できる人材が必要」とか、「AIを活用して新しい付加価値を生み出せる人材がい欲しい」というようなキーワードをお聞きします。しかし、そんな話を聞くたびにに様々な疑問が頭をよぎります。今日は企業の人材像について考えてみたいと思います。

 

救世主なんていない

人材の採用でも育成でも、期待人材像が明確でないとゴールにはたどり着きません。既存事業で必要な人材像はかなり具体的に話ができるのですが、デジタルトランスフォーメーションに関する人材に関しては途端に抽象度が高い表現になります。当然、デジタルの世界に対するビジネスのイメージを経営幹部が描けていないのが起因しているのでしょうが💦 採用担当者は苦労するなと思いました。経営に対して質問もしづらいでしょうし、質問しても明確な答えはないでしょう。一言で言えば「デジタルに明るい優秀な人材」以上でも以下でもないわけですから。しかし、この手の期待は危険だなとも思います。デジタルと言う言葉がついた途端に、既存事業に新風を吹き込んでくれる人材がいるかもしれないと幻想を抱いているわけですから。でも、世の中にそんな人材はいないし、いたら起業していると思います。

 

伝統的な企業が必要とするデジタル人材

ただ正論を伝えるだけでは能がありません。お客様も私になんらかを期待して話をしてくれているわけですから。そんな時は「2つぐらいの要件を持った人を採用したらどうですか?」とお伝えしています。

一つは、デジタルの最新トレンドに精通している。二つ目は課題設定ができる人材です。デジタルトランスフォーメーションを推進したいのに、トレンドがキャッチアップできないのは雇う意味がありませんから。それと合わせて課題設定、課題解決ができる人材です。厳密に言えばデジタルとは関係ないのですが、経営が彼らに望んでいるのは「新しい地図を描いて、デジタル技術を使って実現してくれること」です。ミソは、新しい地図→デジタル技術の順番です。デジタル技術を使って、新しい地図を描くではないんです。これは近しいようで、実は何万光年もの開きが存在します。

 

デジタルトランスフォーメーションが担える人材はどこから調達するのか?

そもそも、そんな人材は伝統的な企業を選ばないでしょうね。ネームバリューがあっても、やりたい事が出来ない、面白くなさそう、何より自分が成長できるイメージが湧かないように感じます。IT系の企業を志望するでしょう。コンサルティングファームから引き抜くのはありでしょうが報酬面でのハードルが高そうです。意外な穴場としては、ソリューション系の営業経験者だと考えます。自覚がない人が多いかもしれませんが、「新しい地図」を描いてきた経験が豊富ですから、デジタルトランスフォーメーションを担える人材になる素養は十分にあるでしょう。

 

活躍できる環境を整える

仮に我が社のデジタルトランスフォーメーションをリードする人材が採用できたとしても、それだけでは不十分です。彼ら彼女らが活躍できる環境を整えることが必要です。日本の伝統的な大企業の強みであり弱みでもあるのが同質性です。結局、優秀な人材を採用できても同質化できないと、弾かられます。活躍できる環境とは具体的には4点です。

  1. 大胆な権限委譲
  2. 報酬水準
  3. 面白さ
  4. 橋渡し&保護者

 

新しい地図を描くのですから、大胆な権限委譲は必須です。既存ビジネスとコンフリクトを起こすことも日常茶飯事ですし。鎖に手足を繋がれたままでは新しい価値を生み出してくれは無理ゲーです。

 

報酬水準もよくよく考えることが必要です。希少性が高いのに、無理に現行の人事制度で処遇しようとすると条件があいません。もっとも特例というのも現実的ではないので、人事制度自体を見直す必要があると思います。

 

面白さというキーワードも大切です。コンサルタントも同じですが取り組む課題が面白い、知的好奇心がくすぐられる、意義を感じられるものでないとコミットメントを引き出せないように感じます。

 

いくら優秀でも、新しい地図を描くことが仕事だとしても、社内の既存リソースと連携しなければ成果はあげられません。だから社内のリソースへの橋渡し役が出来る人材が必要です。まあコンフリクトも起こるので、守ってくれる人材も必要です。まあ、イノベーションを起こすのであれば、それ相応の準備が必要だということです。