クマ坊の日記

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【経営】背水の陣と新規事業

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先日、ある大企業の役員と雑談をしていました。「クマ坊さん、我が社には新規事業を推進できる人材が少ないんだよね。うまくいってる他社は何が違うんだろう」という質問を頂きました。今日は新規事業開発に成功する企業とそうでない企業について考えてみたいと思います。

 

 

本気じゃないから

冒頭の役員からの問いに対しては、「御社は本気で新規事業を立ち上げようとしていますか?」という質問で私は答えました。新規事業を立ち上げる際、よく大企業でみられるのは総論賛成、各論反対です。大企業になればなるほど、その企業が生業としている事業があります。成長性は鈍化しているかもしれませんが、金の成る木であることには変わりません。上場していれば、株主は利益創出を求めます。すると新規事業を進めようとするとコンフリクトが発生します。「そんな新規事業にリソースを突っ込んで回収できるのか?」という問いに対して、経営者は答えなければなりません。説明責任という奴です。しかし、ここにまたまた落とし穴があります。

 

みんなが理解できる新規事業は成功しない

みんなが理解できる新規事業の多くは成功しないからです。これは新規事業のなんとも悩ましい特性です。みんなが理解できるものは、他のみんなも同じようなことを考えるんですよね。だから、結局差別化もできないし顧客価値も提供できません。結局、ビジネスにインパクトを出すような事業までには育ちにくいです。新しい顧客価値を創造するようなものは、そもそもマーケット自体を新たに作り出すので理解できないのが普通です。特に大企業の経営陣になればなるほど理解できません。だって、そんな経験したことないんですから。

 

スタートアップな企業が成功するわけ

スタートアップの企業が新たな顧客価値を創造できるのは、守るものがない。既存リソースがないということとも関係があります。言ってみれば「毎日が背水の陣」なわけで、全てのリソースを突っ込んで勝負しているわけですから。もちろん成功できる企業はごく僅かという厳しい現実も片方には存在しています。

 

注目されるダイナミック・ケイパビリティ

では大企業が新たな新規事業を立ち上げることが不可能かというとそんな事はありません。近年の日本企業で言えば、Honda Jetを立ち上げたHonda社やフィルムから化粧品事業を立ち上げた富士フィルムなどは成功例といっていいでしょう。特に後者はコダック社との比較で「何故、富士フィルムは変革することに成功できたのか」という研究論文が発表されています。その中で、問題提起されているのがダイナミック・ケイパビリティという考え方です。この主張は「企業が技術・市場変化に対応するために、その資源ベースの形成・再形成・配置・再配置を実現していく模倣不可能な能力」と定義されます。分かりづらいですね💦

もっと簡単にいうと、「危機を察知して、自らの強みを新たに組み替えて、事業化する力」ですかね。コダック社も富士フィルムも取り巻く外部環境は同じでした。デジカメやスマホの技術革新で、フィルム事業が急速にシュリンクしていきました。その変化に対して、危機感をいち早く察して本気で事業変革のアクションを起こしたのが富士フィルムでした。ただこれも結果論かもしれません。アクションを起こしても成功するかいなかは当時は分からなかったでしょう。働いている社員からすれば、今の事業に将来性は感じないが、かといって化粧品事業はどうなんだ?というのが本音だったような気もします。ただ、外部から見るとトップが本気でなりふり構わず生き残りをかけて変革に集中していたように感じます。

 

ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論

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富士フイルムの『変える力』

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魂の経営

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