新人の時、部長の姿を見て「なんて楽な仕事なんだ!」とクマ坊は感じていました。午前中は新聞を眺め夜は飲みに行く。実に羨ましい。当時は牧歌的な職場風景でした。しかし、部長の仕事が何なのかを当時は分かりませんでした。
翻ってみると世の中に課長や初級管理職に関する書籍は数多くあります。しかし、部長に関する書籍は意外と少ないです。対象も限られるので、あまり研究対象にもならないのかもしれません。今回は自戒の念を込めて「部長」について考えてみたいと思います。
部長の仕事は五里霧中
役割が上位になればなるほど、非定型の仕事が増えます。文字通り初めて直面するような仕事です。前例や正解がない仕事のため、課長時代と同じように仕事を進めようとすると失敗します。
部長が大切にすべき、4つの視点
- 全体最適
- 長期思考
- 重点主義
- 対策選択
この4つだけは外さないことが大切です。次に一つひとつの項目について解説します。
全体最適
文字通り全社的な視点で意思決定できるかということです。どうしても、「自部門の代表」や「親分意識」が先に立つ人がいます。その結果、顧客に十分な価値提供できない企業はたくさんあります。全体最適が悩ましいのは仕事の全体像を理解できる人材がそもそも少ないということです。営業の仕事をしてきた人が営業部長に、製造部門で働いてきた人が製造部長になります。その道一筋だから高い業績をあげる事が出来た反面、自分の経験でしか価値判断が出来ません。そもそも自部門のことしか分からないので全体最適は難しい。一番いいのは若い時から複数の部門を経験することです。もっとも個人では如何ともしがたいので、企業側がどんな人事ローテーションを計画するかが重要になります。
長期思考
かつては長期で経営を考える事ができたのが日本企業の強みでした。短期では成果が出なくても腰を据えて研究開発に取り組む事で素晴らしい製品を世に送り出してきました。しかし、現在は株主から短期業績が厳しく求められる時代です。当然、社内のマネジメントの仕方にも影響を与えます。部長も短期の結果に意識がいきがちです。しかし、部長の仕事は「明日の種も蒔く人」です。課長までは日々の仕事を回すこと、短期の成果を出すことで精一杯です。部門の未来に関わる仕事は部長が考えなければ、先送りにされるのが関の山です。
重点主義
課長時代に比べてマネジメント範囲が広がります。当然、取り組むべき課題は多岐に渡ります。しかし、その全てに手を打とうとするのは誤りです。リソースは限られます。あれこれ手を出しても成果はあがりづらいですし、何より部下は忙しさで疲弊します。部長は「やらない事を決めること」が大切です。ムリなく無駄なく、最大の成果を上げる課題は何かをよくよく考えなければいけません。
対策選択
施策を考える際に、ロジカルに複数の案を考え、成功確率の高そうなものから実施していき思考です。これとは反対に、直感だけで施策を思いつく部長もいます。直感自体は私は肯定派です。仕事に習熟すればするほど直感は私たちを正しい答えに導いてくれます。しかし、ポジションが部長となると話は違います。最初にお伝えした通り、前例のない未知の領域の仕事での意思決定が求められるからです。
皆さんの会社の部長さんは4つの視点で仕事されているでしょうか?