クマ坊の日記

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働き方改革でベンチマークされる会社

今週は「働き方改革」テーマでずっと押しています。今まで「働き方改革」の問題点や課題を書いてきました。今回は今、働き方改革で最も注目されている企業を紹介したいと思います。

 

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目次

 

働き方改革で注目されている企業はカルビー

「とまらない、やめられない、カッパエビせん!」でおなじみにのカルビーです。カルビーが何故これだけ注目されているのか?ユニークな働きやすい人事施策を実行しているのは勿論ですが、なんといっても儲かっているからです。企業の経営者からすれば、働き方改革で生産性があがるかは???なんですね。だって、現在の経営者の多くはは「24時間働けます!」の仕事人生を経て、現在の地位を築いている人ばかりですから。だから業績と働き方改革を両立させているカルビーは各企業からベンチマークされる存在なのです。実際、多くの人事担当者がカルビーに視察へおしかけています。

かっぱえびせん 

 

きっかけは経営者

カルビーは広島が発祥のオーナー企業でした。ちなみに現在のカルビーの社名の由来は当時の日本人に不足しているとされたカルシウムの「カル」とビタミンB1の「ビー」を組み合わせた造語です。同族経営をやめ、2009年に、ジョンソンエンドジョンソンでの社長経験を持つ松本氏が会長兼CEOに就任してから様々な改革が始まりました。

松本会長が以前勤めていたジョンソンエンドジョンソンはCSRを推進する会社として世界をリードする会社です。働き方と業績を昔から両立している会社として世界中から賞賛されています。その真髄はクレドという行動指針を徹底していることにあります。松本会長はジョンソンエンドジョンソンでの手法をカルビーに持ち込みました。

もちろん働き方改革が目的ではありません。業績をあげるためには働き方改革を進めたほうが合理的だと考えて実行していきました。

 

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 成果主義の徹底

カルビー成果主義を徹底しています。プロセスはいいから結果を出せということです。私が話しを聞いて驚いたのは、成果が出ないと降格人事を平気で行います。またカルビーの社員からすれば降格人事は日常茶飯事なので、上司が降格しても普通に受け入れているそうです。日本企業の多くは人事制度上は降格制度を整えていますが、運用されることは稀です。また降格すると周囲は腫れ物にさわるが如く気を遣います。この風土は松本会長になる前からあったそうです。そういう風土があったから、松本会長が成果主義をさらに推し進めても受け入れる土壌が車内にはあったのだと私は感じました。

 経営面から言えば、カルビーはとてもコストをかけすぎる経営でした。カルビーに限らず、日本の製菓メーカーは商品に対する品質意識が高すぎる傾向があります。消費者の立場からすればとても有り難いことですが、経営の視点でみるとコストかけすぎじゃない?なんてことはよく見られます。それは目に見えるコストだけでなく、長時間労働を含めた見ないコストも含めてです。外部からやってきた松本会長は、このコストが高すぎる点に注目しました。そして就任直後から「コスト・リダクション」と「イノベーション」を言い続けてきたそうです。

そして、後は目標を設定し、行動基準を明確にしてゴリゴリマネジメントしていったら、目論見通り業績は右肩あがり。お菓子メーカーだったカルビーがフルグラなどの新商品も開発しこれまた大ヒット。このフルグラという商品は管理職に女性を抜擢し、マーケティングが大きく変わりました。女性活躍や多様性を取り入れることで、ビジネスが大きく発展した事例としてもよく取り上げられます。


相葉雅紀 CM カルビー フルグラ 「いいじゃんフルグラ」「バナナ4本分の食物繊維」

 

 

具体的な施策をみると

  1. ワークライフバランスではなくライフワークバランス!生活が大切のメッセージ
  2. 女性管理職の比率が22パーセントに向上(6年半前は6%未満)
  3. 本社オフィスの移転とフリーアドレス(オフィスがかっこいい!)
  4. 会議の削減(以前の3分の1に)
  5. 残業の大幅な削減
  6. 直行直帰の推奨(喫茶店で仕事してもOK)

などなど数多くの働きやすい職場づくりを推進しています。社員の自発性を促すことで業績も利益率が小5年で10倍! これが働き方改革のモデルとして注目される所以です。もちろんカルビーにも課題はあります。働き方改革の施策はスタッフ職や営業職の人々だけに適応されています。製造現場である工場では実施できていません。工場の特性上同じように働き方改革を導入するのは難しいのでしょう。また単純に成果だけを考えれば、工場のロボット化を進めるという案もあるのでしょうが雇用を守れなくなりますからね。

やはり、カルビーの事例を見ると経営者と戦略の重要性を改めて感じます。そして働き方改革の背景が経済合理性に基づいている点も忘れてはいけません。決してヒューマン主義で生まれたわけではないのです。そして働き方改革は成果主義とワンセットということです。私はこういう働き方はわかりやすくて好きですね。