私の仕事は企業の人材育成を支援することです。仕事の一つに社員向けの研修を企画運営する仕事があります。昔は偉い先生のいい話を聞けたで終わった時代もありました。しかし、現在では「教育効果」ということを経営から問われるようになりました。今日は教育効果について書いてみたいと思います。
目次
カートパトリックの4段階モデル
研修効果の測定は様々な要素が絡みあうので非常に難しいというのが実際です。教育効果の理論で有名なのはカートパトリック先生の4段階評価です
- レベル1 Reaction(反応)研修アンケートによる受講者の満足度
- レベル2 Learning(学習)テストによる学習到達度の評価
- レベル3 Behavior(行動)インタビューによる研修後の行動変容
- レベル4 Results(業績)受講者や職場の業績の向上
従来から、レベル1や2に関しては測定されていました。今、企業が関心を持っているのはレベル3の行動変容です。欧米の企業はレベル4まで測定している企業も珍しくありません。欧米は個人の職務が明確に分かれているので業績との関連は出しやすいのかもしれません。
前述したように、企業ではレベル3の行動変容を求める傾向が強くなっています。しかし、よく考えてみれば1日や2日の研修で人の行動が変わるというの無理ゲーです。宗教じゃないんですから💦
研修効果が高い人、低い人
面白い調査結果があります。直近の2年間で研修を受講した人に対してインタビューを通して、研修受講後に自分の行動が変容したかどうかを追跡調査をしました。すると、学び方によって、行動変容につながりやすい人とそうでない人が見えてきました。学び方とは大きく3パターンでした。
- 素直体験型 研修を前向きに受講し、素直に学ぶ人
- ナナメ観察型 研修を批判的に観察しながら参加する人
- まじめ塾考型 研修を受動的に受講し、講師の講義や情報をありたがる人
結果から言うと、研修後の行動変容が起こりやすかったのは、1素直体験型と2ナナメ観察型でした。1は素直に前向きに研修受講するので研修後の行動変容も起こりやすいのはイメージしやすいですよね。
以外だったのは、2ナナメ観察型でした。このタイプは管理職に多いです。管理職が仕事柄、職場を俯瞰して仕事することを求められるからだと思います。研修には決してのめり込みませんが、冷静に「これは職場で使える、使えない」と考えながら研修に臨んでいます。そのため、使えると思たスキルや知識に関しては貪欲に職場に取り入れるのだと思います。
一番困るのは、3まじめ塾考型です。このタイプは研修アンケートを取ると満足度が高いケースが多いです。「いい話を聞けた」「刺激をうけた」でも、研修を受講しただけで満足してしまうんですよね。研修を受講しても、悲しいかな次の日には綺麗サッパリ忘れていたりします。
アウトプットが最も大切
研修を受講したり、書籍を読むことでインプットすることは大切です。でももっと重要なのは学んだことを現場で使ってみることです。アウトプットなくしてビジネスパーソンの成長はあり得ません。ビジネスパーソンだけでなく、どんな分野でも同じですね。
私はJリーグの横浜F・マリノスを応援しています。以前は育成が下手なクラブでしたが、エリックモンエルツ監督が率いた3年間で多くの若手が育ちました。この3年間で特徴的だったのはサブの選手のための練習試合がなかったことです。つまりサブの選手が試合に出れたのはカップ戦です。つまりカップ戦という公式試合で結果を出さないとリーグ戦には出場できません。しかも普段は練習試合もしていないので、サブの選手はぶっつけ本番に近い形でカップ戦に出場していました。連携もなにもあったものではありません。つまり、アウトプット>>>>>インプットだったんですね。乱暴ですが、人材育成の手法としては理にかなった育て方でした。是非、職場で新しいスキル、新しい仕事のやり方にトライしてみてください。