お客様と雑談をしていると、AIに関するテーマが増えてきました。多くが、悲観的な文脈でAIを語られます。「AIに自分の仕事が奪われる」というものです。ただそういう文脈で雑談をする人は、自分が現役の時代はギリギリ大丈夫っとも考えているようです。私はAIは素人です。ITリテラシー自体低い人間ですが、私の本業であるビジネスパーソンの学びに引き寄せてAI時代について考察してみたいと思います。
目次
- AIとは何か
- AIと人間の認識の仕方は違う
- AIに出来ないこと
- AIが強い分野
- AIのおかげで人材の育成期間が短くなる
- AI時代にビジネスパーソンは何を鍛えるべきか?
- 問題解決力
- コミュニケーション能力
- 学び直す力
AIとは何か
画像や音声や文字情報などの認識を部分的に自動化したものだと私は捉えています。少し前まで、AIが進んだ世界を映画ターミネーターのような世界だと勘違いしていました。AIを搭載したロボットがチェスの名人に勝ったとか、絵画を描いたとかいうニュースを見れば、私のような素人はすぐ誤解してしまいます。
AIと人間の認識の仕方は違う
自分のAIの認識が誤っていると感じたのは、ある自動車メーカーの組み立て工場に伺った時でした。人間とロボットが一緒に自動車の組み立てをしていました。組み立てラインのベルトコンベヤは、普段は一定のスピードで流れています。しかし、工程の途中で作業が遅れるとそれに合わせてベルトコンベヤもスピードをゆっくりに流します。ゆっくり流れている間に、人が作業を早く行うことでベルトコンベヤの早さを元に戻すそうです。この時間を絶妙に調整することがロボットにとっては至難の技だそうです。白い壁の前に立って、どこまでが白い壁かということを認識するのも苦手だそうです。曖昧な状況を判断することができないそうです。
AIに出来ないこと
AIやロボットに興味があったので、その分野のプロに会うと質問攻めにしてしまいます。💦 今、下記のようなことがAIの弱点なようです。
- 意志がない
- 人間のように知覚できない
- 事例が少ないと対応できない
- 質問を生み出せない
- 枠組みのデザインができない
- ヒラメキがない
- 常識的判断ができない
- 人を動かす力がない
まだまだ出来ない事も多そうです。
AIが強い分野
曖昧なことを認識するのは苦手なAIですが、狭い分野。データーや正解がある分野には滅法強いです。裁判の判例を短時間で検索して、今回の事案をどう解決すればいいのかなんて仕事は強そうです。病気の症例を分析して最適な治療法を提案するなんてこともできるでしょう。専門領域が高い仕事や定型業務なんかを中心にAIが進んできそうです。
AIのおかげで人材の育成期間が短くなる
上記のように複雑な問題をAIが助けてくれるようになるでしょう。すると人材の育成期間も短くなると私は考えます。
例えば前述した多くの判例から最適な弁護方針を助言できるAIがあれば、若い弁護士でも立派な弁護ができるようになるからです。病気のデータベースから最適な治療法を提案できるAIがあれば、キャリアの少ない医師が治療できるかもしれません。このような裁判や治療は今まで、ベテラン弁護士や経験値を積んだ医師しか行えないものでした。熟達にはどんな職業でも10年近くかかります。AIが発達することで、本来学ばなくてはいけないことを肩代わりしてくれるのではないでしょうか。そして人は、人でしか出来ないスキルに絞って育成が可能になると想像します。
AI時代にビジネスパーソンは何を鍛えるべきか?
凄く乱暴に考えると、3つの能力に絞られると思います。
- 問題解決力
- コミュニケーション力
- 学び直す力
問題解決力
そもそもの問題や課題を設定する力や、いくつかの要素をまとめ直す力が大切になると考えます。AIはお題を与えれば、解決策を考えてくれますが、そもそも解決すべき問題や課題は何かを決めることはできません。だってそこには、「意志」が必要だから。
コミュニケーション能力
人は感情の生き物です。いくらAIで最適な治療法を提案できたとしても、患者の気持ちや患者の家族に寄り添う気持ちに共感することはできません。どうやったら、人を動かすことができるか?自分の意志を分かりやすく伝える力、相手の考えや気持ちを慮る力はますます重要になると思います。
学び直す力
AIが入って来ることで、仕事の仕方は否応無く変わるでしょう。その時に、従来の仕事のやり方に固執せず、新しいやり方を取り入れていく柔軟性が求められると思います。その際に求められるのが「学び直す力です」このことを専門用語で「学習棄却」とか「unlearning」といいます。自分が培ってきたスキルや仕事のやり方や、認知の仕方も一旦捨てることで、新しいスキルややり方、新しい認知の仕方を獲得できるといわれています。未来はますます変化が激しくなるでしょう。この学び直す力というのは、一見見えない力ですが、とても重要になってくるような気がしています。