ヒアリング力を養う前編に引き続き中編です。今回は「ラポールを形成する」です。心理学では親密な人間関係と定義しています。ちなみに、ラポールとは「橋をかける」と意味のフランス語です。つまり、ヒアリング力の中でラポールを形成するとは相手が話しやすい雰囲気をつくることです。
ラポールを形成するためには、5つのポイントがあります。
①一生懸命聞く
相手の話を一生懸命聞く。真剣に時に楽しそうに。やっぱり一生懸命聞いてくれると話す方は嬉しいですよね。
②ペイシング
相手のペースにあわせます。声の大きさやトーン。リズムもあわせます。ゆっくり話す人にはゆっくり。早口の人には早口で。私はどちらかと言うと早口なので、ゆっくり話す人へのヒアリングの際は特にテンポには気をつけます。ペイシングを行なうには相手をよく観察していないとできません。
③相槌
話の途中で相槌を入れます。「なるほどー」「そうなんですか」「へー」「凄いですね」相槌を入れることで、相手は話を聞いてもらっていると安心します。
鏡のように相手と同じ動作をします。あまりやり過ぎると相手は違和感を感じます。私は相手がお茶を飲む時に同じタイミングで飲むことだけ実践しています。
ノンバーバルコミュニケーションとは、表情とか声とか雰囲気全体を指します。話の内容は前向きなのに、表情が固かったりすると何かまだ話せないことがあるのかなと判断します。「目は口ほどにモノを言う」とはよく言ったものです。お客様でも部下でも、私を100%信頼して話してくれることはないと考えます。例え私を信頼していても、立場や状況、心理状態等で話せないこともあります。だからノンバーバルなコミュニケーションを察することは大切です。
この仕事を始めた時、人材育成に関する知識も経験は当然ゼロでした。そんな自分に何が出来るだろうか?と考えて実践したのがラポールを形成することでした。当時は話の内容はさっぱりわかりませんでした。しかし、うなづきマシーンと化して話を聞いてはメモを取りました。そしてメモした内容を先輩や上司に相談していた毎日でした。
私は元来、人見知りで初対面の人とすぐに仲良くなるのは苦手です。でも、若い時にこのラポールを形成するスキルを練習したことで、初対面の人ともスムーズに会話できるようになりました。お客様、上司、部下とのコミュニケーションではだいぶ役に立っています。
次回はヒアリング力を養う。後編です。メモの技術、質問の技術をお伝えします。