元スターバックスコーヒージャパンの社長であった岩田さんが著書です。岩田さんはサラリーマン社長です。日産自動車→外資系コンサル→日本コカコーラを等を経て、アトラス/ボディショップ/スターバックスジャパンの3社で社長を務めた経歴をもった人です。プロ経営者というやつですね。
この本は企業に勤める課長以上の人に是非、読んで欲しい内容です。共感できる内容ばかりでした。松田さんは自分の経験から、リーダーや社長になる人は、リーダーになろうとするのではなく、周りから押されてリーダーになるのが理想と述べられています。周りから押されるためには、人間力を高めることが大切とのこと。地位があがっても傲らない、常に謙虚に、部下や現場が仕事しやすいように全力を尽くすことが大切だと考えています。これは簡単そうで、難しいです。なんちゃって優秀な人は、自分が優秀だからリーダーになったとおおかれ少なかれ勘違いしますから。男はプライド高いですからね。
しかし、岩田さんは自分で優秀ではないと謙遜していますが、海外でMBAも取得し、外資系コンサルに勤めるぐらいだから普通に優秀なんだと思います。でもそれを鼻にかけないで謙虚に仕事してきたから、周囲をついてきてくれたんでしょうね。
本の内容は共感できることばかりでしたが、特に印象に残ったの3点です。
「人を動かすより、まず自分を動かせ」
リーダーや管理者は人を動かして成果を出すのが役割だと言われます。まさにその通りなのですが、権力で人を動かすのか、人が動いてくれるのかでは大きな差があります。岩田さんは自分が率先して動くことで、周囲もついてきてくれると話しています。その通りなのですが、地位やポジションがあがると勘違いする人は多いですね。
「飲みにいかなくても、本音が聞ける関係をつくる」
岩田さんは大事な話だからこそ、お酒の力を借りず、しらふの場で本音が聞けるような関係をつくることが大切だと述べています。
私は飲みにいくのは好きですが、部下とはこちらから誘って飲みにはいきません。私の場合は昼間も仕事で一緒なのに夜まで上司に付き合わされたら部下は気が休まらないと考えているからです。あとは岩田さんと同じで、しらふでしっかり話せる関係を部下と構築するのが重要だと思っているからです。
「評価は上 横 下の全方位から見て下す」
部下の評価は難しいと岩田さんは語ります。なぜなら自分のポジションがあがればあがるほど部下の本当の姿が見えなくなるから。実際、上にばかりいい顔をするという人が存在します。なのに部下にはひどい対応をしたりしている。岩田さんはご自身の経験で、上にゴマをする人は、下にもゴマをすらせる傾向があると語ります。つまり、上には腰低く対応するけど、部下の前ではふんぞり返って偉そうにするとのことです。そこで岩田さんは自分で部下の評価をするときは、部下の部下の意見を聞くようしたそうです。または自分の同僚に部下の評判を聞くそうです。
部下の部下の意見まで聞ける人はなかなかいないですね。そもそも部下の部下が本音で話してくれるような人間性を岩田さんが持っていないと、この試みは機能しないですからね。管理職はどうしても自分に懐いてくれる部下を評価しがちです。岩田さんのような優れた社長がいればいいですが、普通の組織では稀ですね。だとすると、会社として多面評価するような仕組みがないと厳しいですね。
この本は、難しいことは何一つ書いてありません。でも実際の企業の中で実践するには本人の自助努力が求めれます。簡単なことを継続するのが一番難しいかもしれませんね。良い本でした。