クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

プレミアムフライデーと熟達化と給料が上がらない悩ましい関係

最近仕事で各企業に伺うと、クライアントから「他社のプレミアムフライデーの導入検討はどんな感じですか?」とよく聞かれます。私は「同じ質問をよくされますけど、今のところ様子見が多そうですよ。」と毎回答えています。2月24日(金)にスタートということで関心は高そうですね。プレミアムフライデー個人消費を喚起するために、月末の金曜日は3時に仕事切り上げて、飲んだり、食べたり、買い物や旅行にでかけよう🎵ということらしいです。

 

でも、企業は月末は忙しいから3時に仕事切り上げてはできるんですかね。早く帰ることで他の平日の残業が増えたり、休日出勤が増えたりしたら本末転倒ですね。流通業や飲食業で働く人は、逆に労働時間が増えることにならないんでしょうかね?政府の目論見通り、個人消費が増え、企業の業績があがっても、社員のお給料が増えないような気もします。

 

電通の過労死事件をきっかけに、残業に関してはすごく関心が高まっています。電通での事件は痛ましいし、管理者や会社の責任は重大です。日本企業のホワイトカラーの生産性は低いので無駄な残業が増えるのは大賛成です。

 

片一方で、働く時間が短くなるのは、ビジネスパーソンの成長と収入の面では悩ましいなと私は考えます。どの分野でも、ある一つの領域で仕事の熟達者になるためには1万時間かかると言われています。これを「熟達化の10年ルール」と呼ばれています。どんな仕事でも余人に代え難い人材になるためには、どうしても「時間」と「経験」が必要なのです。だから20代〜30代に無理して働くことは重要だと私は考えています。熟達化することで、普通は給料があがります。だって代えが効かない人材だからこそ価値が生まれるのだから。

 

政府の働き方改革が加速し、労働時間がどんどん短くなると、ビジネスパーソンの成長に必要な時間も奪うことになると思います。そうすると、誰でもできる仕事や作業をやり続けることになりかねません。当然、一生懸命働いてもお給料はあがらずなんてことが益々起こってくるのではないかと心配になります。

 

働く時間が短くなっていくトレンドは今後も加速していくことになるでしょう。そうすると、企業もそこで働く個人も、「学びの質」が問われてくる時代に突入することになると私は考えています。言い換えれば、短い時間で「濃密な学びの経験」をデザインできる企業や個人とそうでな企業や個人との格差がますます広がる社会になるような気がします。