クマ坊の日記

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働き方改革が上手くいく会社、そうでない会社

前回に引き続いて「働き方改革」について、今年起こりそうな、もしくはすでに起こっていることについて考察してみたいと思います。

 

目次

 

働き方改革の検討事項

政府が現在掲げている働き方改革について改めて眺めてみましょう。

  1. 非正規雇用処遇改善(同一労働同一賃金
  2. 賃金引き上げと労働生産性向上
  3. 長時間労働の是正
  4. 転職・再就職支援・職業訓練
  5. 柔軟な働き方がしやすい環境整備(テレワークや副業、兼業等)
  6. 女性・若者が活躍しやすい環境整備(正社員化、学び直し教育)
  7. 誰にでもチャンスのある教育環境整備
  8. 高齢者の就業促進
  9. 病気の治療と仕事の両立
  10. 子育てや介護と仕事の両立
  11. 外国人材の受け入れ

主要な検討項目でこれだけあります。一目見て分かるように論点が非常に多岐に渡っています。またこれまで試みられていたこととも重複します。国民全員に受けるように風呂敷を広げすぎた印象です。このなかで特に注目されているのが、3長時間労働の是正です。長時間労働が減るのはいいことなのですが、現在、多くの職場で起こっているのは仕事は残っているけど、とりあえず残業するなという会社の指示です。その結果、社員の残業代は減るが、仕事量だけは減らないなんて事態に陥っています。

 

長時間労働の是正がもたらすもの

長時間労働が是正されて、余裕をもった働き方、生活をすることで、結果的に個人の生産性、ひいては企業の生産性があがるというのが政府が考えている目論見です。しかし、そうは簡単に事は進まないでしょう。長時間労働を是正するために企業が手っ取り早く取り組むのは、JOBサイズの細分化です。1人あたりの担当する仕事の範囲を小さくすることです。範囲が小さくなれば仕事に必要なスキルや知識の習得も少なくて済みますし、仕事を絞り込むことでミスも起こりにくくなります。

しかしその一方、短い時間で、狭い範囲の仕事を、大量にこなすことが求められることになると思われます。結果的に労働強化につながります。ジョブサイズが狭まることで、創意工夫できる余地が少なくなります。つまらない仕事がさらにつならなくなることが想定されます。それに伴いストレスが増え、メンタル不全をきたす人がますます増えそうな予感がします。

働きすぎを是正する施策が、かえって労働強化を促すという笑えない世界が待っているのかもしれません。

 

働き方改革がうまくいく企業とそうでない企業

かなり悲観的なシナリオを述べてしまいましたが、もちろん経営によって働き方改革が上手くいく企業とそうでない企業に2極化するでしょう。では上手くいくためのポイントは何でしょうか?

  1. 働き方改革に本気で取り組むか?ブームで取り組むか?
  2. 経営戦略から見直せるか?
  3. 優秀な管理職を多く

1は当たり前の話ですが、経営者が本気で働き方改革に取り組むかどうかです。今、話題なのでとか国が推し進めているから程度で取り組むと、前述した通り現場は混乱するだけだと思います。

腹を括った後にしなくてはいけないことは、経営戦略を見直すことです。企業は利潤をあげて持続的に成長することが第一義に求められます。働きやすくなったけど、会社が潰れてしましましたでは仕方ありませんから。どんな付加価値を顧客や社会に提供することで儲けるのか。そのためにどんな人材にどんな風に働いてほしいかを考えないと、具体的な働き方改革の施策を選択することはできません。多くの検討項目があるので、ゴールを明確にもっていないと、重複する人事施策を現場に課すことになり生産性を損なうだけです。

経営者が本気で、経営戦略を見直しても、それを現場で展開する管理職の質が伴わないと元の木阿弥です。どんな変化でも現場は混乱します。混乱期間を最小限に収め、新しい働き方にシフトできるかどうかは管理職次第です。こう書いてみるとハードルはなかなか高いですよね。💦

 

最後に

人口減少する日本社会を考えると、困難ではありますが働き方改革は避けて通れない問題です。勇気を持って、頭使って、一歩づつ課題をクリアしていくしかないと思います。