クマ坊の日記

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人は過去から学べない  だったら現在から学べばいい

私は昔から歴史が大好きです。戦国時代の武将に嵌まり、そして日本史・世界史問わず本を読みあさりました。そして学生時代は様々な史跡を見て回りました。そんな背景もあったので歴史から人は学べることが多いと考えていました。しかし、最近、「人は過去から学べない」という理論も知りました。その理論を提唱したのは社会学者のダンカンワッツ先生です。今日はワッツ先生の「偶然の科学」を紹介してみたいと思います。

 

目次

  

ダンカン・ワッツ先生とは誰だ?

アメリカの社会学者で、コロンビア大学の教授です。年は現在46歳。若いですね。世界には頭がいい人がたくさんいます。スモールワールド仮説などを提唱しています。スモールワールド仮説とは、全ての人や物事は6ステップ以内で繋がっているというものです。「世間は狭い」ということです。

 

偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)

偶然の科学 (ハヤカワ文庫 NF 400 〈数理を愉しむ〉シリーズ)

 

 

人は後付けで解釈をつけるのが得意である

ワッツ先生は、『人は「過去」において偶然を嫌い、必然を好むのさ。逆に未来に関しては「偶然」の積み重ねだと分かっているのに、いかに必然であるかを理由づけして勝手に解釈してしまう。つまり、人は現在と過去を必然だと思い込みたがるものなんだよ』と主張します。そして歴史的大事件(企業の成功、技術のイノベーションなどなど)は多くの人々が介在し、膨大な偶然の出来事が重なって起きている。つまり同じ条件が二度と揃うことはないので、過去や歴史を調べても役に立つ知識やノウハウは入手できない。だから『歴史から答えは学べないよ』とも論じます。

 

ハロー効果

人事考課エラーの一つにハロー効果というものがあります。例えば本来の人事考課項目とは全く関係ないのに、A君は英語がペラペラだから優秀だと評価してしまう。つまり、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて、他の特徴についての評価が歪められることです。ハローとは後光の意味です。

人は結果に目を眩まされ、都合のいいように評価・判断してしまうことが結構多いのです。『あんな大企業で品質の良い製品を作っているのだから、素晴らしい経営をしているに違いない』とかですね。

ハロー効果ではこんな実験結果もあります。ある分析作業を2つのチームに依頼します。2つのチームを仮にAチーム/Bチームとします。分析作業には点数がつけられます。その結果、Aチームは90点。Bチームは40点でした。その点数を両チームにフィードバックした後に、各チームで分析作業の取り組み方について振り返ってもらいました。コミュニケーションの取り方やチームワークなど。するとAチームのメンバーはコニュニケーションが活発だったし、チームワークも良かったと振り返りました。逆にBチームはコミュニケーションもチームワークも改善点があったと振り返りました。しかしこの実験は意地悪で、分析作業に点数などはつけられていませんでした。それにもかかわらず、人は勝手に高くもしくは低く評価してしまったのです。

 

人は自分に甘い

人は成功体験は自分の努力の賜物と思い込んでしまうことが多いです。過去の成功体験なんて、良かったことしか覚えていませんから💦。失敗すれば環境や運のせいにしがちです。まあ、個人で成功体験を美化するのはいいのですが、企業となると別です。前述したように、人は現在と過去を結びつけて考えがちです。『わが社は昔あれだけ頑張ったのだから、今の成功がある。この成功はライバルを凌駕するものだと成功を過剰評価してしまい、だからきっとこの先も大丈夫!」なんて自社の評価を盛りに盛って評価してしまったりします。成功体験が強ければ強いほどこの思い込みの罠にはまりやすいです。環境変化が激しい時代、昨日の成功は明日の成功を保証するものでは当然ありません。

 

どうすればいいの?

 変化が激しく先が読めない時代。ワッツ先生の主張からすると過去にも答えはない。ではどうすればいいの?と途方に暮れそうです。でも大丈夫、安心してください。答えは近くにあります。過去に学ぶのではく、現在に学べばいいんです。現場で試行錯誤している中に「答え」はあります。この考え方をブライト・スポットアプローチといいます。

 

ブライト・スポットアプローチとは

栄養学の現場で開発された手法です。アメリカのマリアン博士は世界の貧困地域の子供達の栄養状態について研究していました。貧困地域の環境は様々で、どの地域でも通用する対策が見つけられずに困っていました。しかし、貧困地域に住む子供をよく観察しているとどんな貧困状態が悪い地域にも、栄養状態のいい子供がいることに気づきました。そこから「その地域に根ざした特有の栄養改善策が立てられるのでは?」という仮説を立てました。そして、栄養状態のいい子供の親にどんな工夫をしているかを聞き出し、その結果をその地域に住む他の親に伝えました。マリアン博士の仮説はドンピシャでした。子供達の栄養状態は大幅に改善されました。同じような手法を各地で実施したところやはり大きな効果が認められました。

つまり、成功の解は現場にすでに落ちていたんですね。

 

まとめ

ドイツ初代宰相のビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言っています。ワッツ先生のいう通り、過去に答えはないかもしれませんが学ぶべきことはあると私は思います。しかし、その一方でワッツ先生がいうように「過去」に答えがないことの方がこれからますます増えるでしょう。そんな時は未来を推測するのも一つですが、案外答えは身近に転がっているかもしれないと思います。特にビジネスの世界は困ったら現場をよく観察し、とりあえずやってみることが答えに近づく王道だと信じていす。

 

まあ、これもハロー効果かもしれませんけどね。